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歯の神経を抜くのはなぜ?

2022年3月5日


 
歯科治療では「歯の神経を抜く」という、医科の治療でもあまり経験しない処置が日常的に行われています。字面だけ見ると、とても怖い処置のように思えますし、そもそもなぜ神経を抜かなければならないのでしょうか。
 
 
歯の神経は、「歯髄(しずい)」という組織の中にあります。歯の中心部に存在している神経や血管から成る組織です。神経があることで歯に加わった刺激を痛みとして感じ取ることができます。その歯髄が細菌に感染すると、歯の神経を抜く、つまり歯髄を取り除く「抜髄(ばつずい)」が必要となります。
 

 
虫歯治療で行う抜髄は、まず炎症反応による痛みを取り除くことを目的とします。歯髄炎になった歯は、安静にしていてもジンジンという強い痛みが生じます。とくに副交感神経が優位となる夜間は、歯痛が強まり、眠れない夜が続くことも珍しくありません。歯の神経を抜くと、そうした不快症状が嘘のようになくなります。
 

 
また、歯髄はいわゆる“軟組織”であるため、硬組織であるエナメル質・象牙質よりも感染が広がる速度が速いです。まだ神経の上の部分しか感染していなかったとしても、歯髄全体をできるだけはやく抜き取らなければより重い歯髄炎へと進行していきます。その状態を放置すると歯痛がさらに強まるだけでなく、歯の根の先にまで感染が広がって根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)や顎骨骨髄炎などを併発することもあります。
 
私たちの身体において神経はとても重要な役割を担っている組織なので、それを抜いてしまうことに強い抵抗を感じること多いでしょうが、歯髄炎が一定以上広がると抜髄が必要となります。
 
抜髄をして、歯髄の中にある欠陥が失われることで、歯に栄養がいき渡らなくなる心配がありそうですが、歯は欠損が自然治癒しない反面、血管が無くても歯質自体が弱まることはありません。しかし、神経が無くなることで、虫歯の進行や噛み合わせの悪さに伴う痛みも感じなくなるので、痛みによる歯の状況のシグナルが遅れなくなり、結果として症状の悪化を招く可能性はあります。
 
このため、生活歯髄療法といって、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた高度の治療により、抜髄を免れるケースも多くなりました。抜髄は抜歯同様に後戻りのできない治療です。簡単に抜髄を行う前に生活歯髄療法の可能性も検討すべきでしょう。
 

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