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歯周病は骨も溶かす!

2019年11月22日

歯周病は歯の土台の骨も溶かす



虫歯菌は乳酸やギ酸などの有機酸を産生することによって、歯を溶かしていきます。治療を受けずに放置していると、歯質が崩壊して、やがては歯の神経まで侵されていく病気です。これと同じように、歯周病も細菌が産生する物質によって組織が溶かされていく病気です。

歯周病の代表的な症状は、歯肉(歯茎)の腫れやブラッシング後の出血です。これらは比較的軽度の歯周病でも現れる症状といえます。病態が進行していくと、感染や炎症の範囲が広がり、歯茎や骨が溶かされていきます。歯茎が下がったり、歯槽骨(歯の土台の骨)が吸収したりするのはそのためです。ただ、「溶かされる」と聞くと、むし歯と同じように酸性の物質でも産生しているのではないかと思われるかもしれません。しかし、同じ溶かすでもメカニズムは違います。

歯周病の場合、P.g(ポルフィロモナス・ジンジバリス)菌に代表される歯周病菌が「酸」ではなく「酵素」を産生して、歯茎や歯根膜を溶かしていきます。酵素というのは、大きな物質を小さな断片へと分解していくもので、唾液に含まれるアミラーゼが有名ですが、デンプンをマルトースやグルコースのような消化しやすい形に分解する物質です。

歯周病よぼの基本は歯磨き



歯周病菌は、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」、ヒアルロン酸を分解する「ヒアルロニダーゼ」、コラーゲンを分解する「コラゲナーゼ」などを産生します。いずれも歯周組織を構成する重要な成分なので、酵素によって分解されると、組織そのものの破壊へとつながるのです。では、歯と同じように硬い「歯槽骨(しそうこつ)」は、どのように溶かされていくのでしょうか?

それは「破骨細胞(はこつさいぼう)」という私たちの体にもともと存在している細胞による仕業です。健康な人でも骨を作る「骨芽細胞(こつがさいぼう)」と骨を溶かす「破骨細胞」がバランスよく働くことで、骨の新陳代謝が促され、正常な状態を保つことが可能となっています。

そこへ歯周病菌の繁殖が起こり、体の外へ追い出そうとする力が過剰に働くと「サイトカイン」と呼ばれる炎症を誘発する物質がたくさん産生されるようになります。サイトカインは、破骨細胞の働きを促進することから、骨も過剰に吸収されていってしまうのです。

このように歯周病が重症化すると、単なる歯茎の腫れだけではなく、歯周組織の破壊へとつながっていくことから注意が必要です。上述したことを踏まえると、歯周病が「歯を失う原因第一位」であることも頷けることかと思います。

歯周病は何より、歯が溶けるほど進行する前に予防、治療を行うことが大切です。、歯周病が歯の土台の骨を溶かし、歯が動揺するほど進行してしまうと抜歯を避けられなくなることもあります。日本人が歯を失う一番の原因は虫歯ではなく、歯周病です。歯周病の悪化を食い止めるため、定期的な歯石除去をぜひ行ってください。

歯石の除去も定期的に行うことが必要

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