2015年2月14日
歯は1本いくらの値段が付くでしょうか。歯につける値段(治療費ではなく自分の歯の値打ちという意味です)は歯科医と一般の人は随分違っていて、一般には5万円から10万円と言う人が多いのに歯科医は50万、100万円という値段を付けることが多いようです。これには「歯医者は歯の値打ちが高い方が儲かるからだ」という皮肉な見方をする方もいるかもしれませんが、そうではないと思います。歯科医師が歯の値打ちを高く評価するのは、自分の歯で噛めることの価値を理解しているからです。
近年はインプラントという非常に強力な治療法ができ、抜歯を行っても咀嚼力を相当(90%程度と言われています)回復することが可能になりました。しかし、インプラント治療は1歯50万円程度と高価であり、健康保険の適用もありません。しかも、歯根の代わりにネジを上顎、下顎の骨に埋め込む方法をとるために、顎の骨が一定以上の厚みと強さを持っている必要があります。歯周病などで歯骨の吸収が進んでいると適用が不可能なケースもあります。
インプラント以外で抜歯後の咀嚼力の回復にはブリッジという方法があります。ブリッジとは文字通り抜けた歯の両側から橋を架けるようにして人工歯を固定する方法ですが、どうしても両側の歯に余計な負担がかかり、場合によりブリッジを架けた歯を抜かなければならなくなることもあります。
ブリッジは両側の歯がある程度しっかりしている必要がありますし、2歯以上抜けると十分な強度を確保するのが難しくなってきます。そこで歯が何本も抜けると義歯を使うことになります。義歯もチタン床のような、生体親和性に優れた金属が土台に使用されるようになり、食べ物の温度を感じながら食べることもできるようになりました。しかし、残念ながら義歯の咀嚼力はインプランと比べるとかなり低く、自然歯には遠く及びません。
見た目については、セラミックやレジンの進歩で天然歯に近い色の人口歯を作ることができるようになりました。ただ、セラミックは保険適用がなく、治療費も高くなります。こうして考えると、歯を失うと治療費だけでもかなりの出費になりますし、歯科医院に通う手間暇もかかります。それでも、自然歯の咀嚼力あるいは自然な美しさを取り戻すのは簡単ではありません。
こうして考えると歯1本の値打ちは一般平均の5-10万円より、やはり歯科医の考える50-100万円の方が近いのではないかと思います。成人の歯の数は全部で28本ですから、1本100万円なら全部で2,800万円にもなります。車どころかマンション一部屋分の値段です。
歯を失わないためには日頃のメンテナンスがとても大切です。日本人が歯を失う原因は虫歯より歯周病の方がずっと多く、歯周病の予防は毎日の丁寧なブラッシングと定期的な歯石取が一番だからです。また、治療に際しても歯を出来るだけ抜かないために、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を駆使した精密歯内療法による歯の根の治療(根管治療)が行われるようになってきました。当院でも渡邉先生がこの分野の権威として診断、治療にあたっています。
自分の歯は文字通り宝石のようなものです。そういうお気持ちで歯を大切にしていただければと思います。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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