日本顕微鏡歯科学会
「認定指導医」在籍
「再発」「抜歯」を回避する
精密根管治療
~セカンドオピニオンにも対応~
- マイクロスコープの活用
- ラバーダムの利用
日本顕微鏡歯科学会
「認定指導医」在籍
~セカンドオピニオンにも対応~
根管治療の成功率はこの日本では50%前後と言われています。
欧米と比べると、この成功率は極端に低いものとなります。
なぜ、成功率が低いのか?
様々な理由がありますが、1つは「利用する機器や道具・材料」にあります。
その中でも根管治療の成功率を劇的に高める機器があります。
それは「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」と呼ばれる機器です。
根管治療は「暗く、狭く、複雑に分岐している」根管内を綺麗に清掃する治療になります。
多くの医院がまだ「肉眼」で治療を行っていますが、どう考えても限界があります。
しかし、歯科用顕微鏡と呼ばれる「マイクロスコープ」を利用することで、肉眼では見えなかった部分が見えるようになりますので、格段に治療精度が向上します。
マイクロスコープの扱いに長けたドクターに与えられる資格として、「日本顕微鏡歯科学会」が行っている認定資格があります。
当院では、最上位資格である「認定指導医」を保有したドクターが在籍し、治療も行いますが、他のドクターへの教育も行っていますので、どのドクターも高いレベルでの根管治療が可能になっています。
根管治療の成功率を高めるポイントは先ほどお伝えした「マイクロスコープ」を含め3つあります。
それぞれご紹介します。
可視化とは、根管内を「見える化」することです。
主に「マイクロスコープ」と「CT」がその役割を担います。
マイクロスコープに関しては先ほど簡単に説明しましたが、もう少し深堀してご説明します。マイクロスコープの一番の特徴は、「肉眼の何十倍も視野を拡大できる」ということです。
根管治療が失敗してしまう理由の1つは、細菌に感染した部位を取り残してしまうことです。しかし、マイクロスコープを活用することで、それを防ぐことができます。
論より証拠ですので、下記をご覧ください。
「同じ部位」を肉眼とマイクロスコープで見た際の視野の比較になります。どのくらい精密な治療ができるかは一目瞭然だと思います。
マイクロスコープを利用することで次のようなメリットが生まれます。
CTと一般的なレントゲンを同じものとして理解されている方が多いのですが、全く別物です。CTは「3次元」で撮影できますが、一般のレントゲンでは「2次元」でしか撮影ができません。
当然、診断の精度には雲泥の差が生まれます。
成功率を高めるため治療中に気負付けなければならないことが2点あります。
1つは、唾液の混入を防ぐこと。
もう1つは根管内を綺麗に殺菌すること。
これらを達成するための取り組みをご紹介します。
唾液の中には多くの細菌が含まれているため、患部に入ると再感染リスクが高まります。そこで利用するのがラバーダムと呼ばれるものです。
日本ではこれを利用している歯科医院は数%と言われていますが、当院ではしっかり利用します。
レーザーには強い殺菌効果があります。感染部位を除去したとしても、目に見えない細菌が根管内に存在しますので、レーザーを照射し目に見えない細菌までもしっかり殺菌します。
ファイルとは根管内の感染部位を除去する道具です。
一般的には「ステンレスファイル」を利用していますが、当院では「ニッケルチタンファイル」を利用します。
ステンレスファイルは柔軟性が乏しく折れやすいのですが、ニッケルチタンファイルは柔軟性があるため折れにくく、感染部位もしっかり除去することができます。
根管治療の仕上げとして「充填」という工程があります。
根管内を隙間なく密閉する処置なのですが、一般的には「ガッタパーチャ」というものを利用しますが、当院では主に「MTAセメント」を利用します。
MTAセメントのほうが密閉性が高く、殺菌効果と硬組織修復作用もあるため、治療後の状態が良くなります。
治療をするまでもなく、「抜歯」を宣告されてしまうことがあります。
例えば、歯の根の先端に「膿」がたまっているケースや、「歯の根が割れてしまっている」ケースがそれに該当します。
このような場合であっても、抜歯せずに対応できるケースがあります。
それぞれご紹介します。
歯根端切除術とは、歯の根に膿がたまったときに行う治療法です。
外科的処置により「膿」を除去する治療です。
再植術とは、歯の根が破折してしまった場合に行う治療法です。
一旦、対象となる歯を「抜歯」し、処置を行ったうえで「もとの場所に戻す」治療になります。
紺管内を綺麗にした後は、「被せ物」をして治療終了となります。
実は、この「被せ物」の「精度」も成功率に大きな影響を与えます。
被せ物は「蓋(フタ)」のようなものです。
例えば、入れ物の蓋の精度が高いと、中に異物が侵入する可能性は低くなりますが、蓋の精度が低いと、隙間から異物が入り込む可能性が高まります。
「歯の蓋」である被せ物も同様です。
精度が悪いと、歯と被せ物に隙間が空き、そこから細菌が入り込み、再発の原因になることがあります。
精度が高い被せ物は、歯と被せ物の隙間がほぼなく、細菌が入り込む余地がありません。
下の表をご覧ください。
これは、アメリカの統計になるのですが、根管治療と被せ物の「精度」と「成功率」の違いを表したものになります。
「根管治療」の精度 | 「被せ物」の精度 | 成功率 | |
---|---|---|---|
パターン① | ◎ | 自費 | 91.4% |
パターン② | 〇 | 自費 | 67.6% |
パターン③ | ◎ | 保険 | 44.1% |
パターン④ | △ | 保険 | 18.1% |
「根管治療の精度」も「被せ物の精度」も高い場合の成功率は91.4%。
しかし、両方の精度が低い場合の成功率は18.1%。
その差は73.3%になります。
つまり、治療の成功率を高めるためには「精度の高い根管治療」だけでなく「被せ物の精度」も高めなければなりません。
セカンドオピニオンとは、複数のドクターに診断結果や治療法を聞くことですが、当院では根管治療のセカンドオピニオンを希望される患者さんが多くいらっしゃいます。次のような相談が多く寄せられます。
当院では、マイクロスコープの「撮影機能」を利用したセカンドオピニオンを行っています。
マイクロスコープを利用することで、根管内の状況がよくわかり、何が問題になっているのか、本当に抜歯しか選択肢はないのかがわかります。
根管内の写真を患者さんにも共有しながらご説明しますので、根管治療でお悩みの方、ぜひ、上手にご利用いただけたらと思います。
精密根管治療とはどのようなものですか?
虫歯が進むと神経を取る治療が必要になります。これを抜髄といいますが、抜髄で神経を取ると、根管と呼ばれる神経が入っていた管(くだ)が残ります。この管は歯の根の部分まで続いていますが、虫歯の治療では、神経が取られて空になった管の中に薬を詰めます。
これを根管治療あるいは略して根治と言います。精密根管治療も根治の一つですが、今までの限界を超えて、治りにくい根管治療で高い成績を上げることができます。
もう少し詳しく説明をいただけますか?
虫歯の治療で最初に神経を取る抜髄をした後で、薬を詰めるのですが、この場合、薬が十分に管の先まで行き届かなかったり、口腔内の細菌が混入したりすると、抜髄後しばらくして根が感染症により腫れることがあります。その時は詰めていた薬を除去して新しく薬を詰め直すのですが、根管は非常に複雑な形態をしていて、感染部を除去するのは大変難しく高度な技術を必要とします。
そのため、根治を行っても再び根が腫れる確率がかなりあります。このため何年にもわたって根治を繰り返しても一向に完治に向かわずに、ついには歯を抜く必要が起きることも多いのです。精密根管治療では抜歯の確率を大幅に減らすことができます。
それはなぜなのですか?
精密根管治療では従来の根管治療のやり方を徹底的に見直して、再び感染によって根が腫れる可能性を非常に小さくしているからです。
具体的にはマイクロスコープ、ラバーダム、使い捨ての道具の使用そして高度な修練を積んだ専門家による治療です。
口の中は細菌の巣と言っても良いくらい沢山の雑菌が存在します。そのため唾液が治療箇所に混入するとそれが新たな感染症の原因になります。唾液の混入を防ぐためにゴムで覆う、つまりラバーダムの使用が第一歩です。
最近はラバーダムを使用される歯科医院も増えましたね?
はい、それは感染症を防ぐ上で大変良いことです。
しかし、細菌による感染を防ぐためにはラバーダムの使用だけでなく、全ての器具の徹底的な滅菌、使い捨ての器材の利用などを行う必要があります。ラバーダムはあくまでも必要なツールの一つで、総合的に一つ一つの基本的な事項を確実に行うことが大切です。
マイクロスコープの利用も特徴的ですね?
前にお話ししたように根管の形は大変複雑です。また、非常に細いもので肉眼では管を見つけること自身が大変難しいのです。精密根管治療はマイクロスコープの応用という新しい技術により初めて可能になったと言えます。
ただ、マイクロスコープを使っても、沢山の訓練と経験を積んだ専門家でなくては、複雑な管を見つけ、薬を注入する治療は大変難しいのです。
ラバーダムについてもお話ししたように、何か一つのツールや技術、道具を使えば精密根管治療の目的が達成されるわけではありません。
下の写真を見てください。この症例では、以前の治療では見つからなかった根管が新たに見つかりました。
また、歯の根の先まで薬が入りきっていなかった既に見つかっていた根管も含め、4本の根管すべてに治療後はしっかりと薬が根の先まで入っているのがお分かりになると思います。
この写真の患者さんは何年間も歯の根が腫れて治療するということを繰り返していらっしゃいましたが、治療しても痛みが十分に引かず思い切って噛むことができないという状態だったのですが、当院での治療後は安心して物を噛むことができるようになりました。
根管治療は保険も適用されますね?
はい、しかし、精密根管治療のための器材を揃え、徹底した滅菌、ラバーダムや使い捨て器材の使用、さらに特別な訓練を受けた専門家が行う治療は残念ですが保険治療の範囲を超えています。
また、長時間にわたる治療時間も確保しなければなりません。むしろ、精密根管治療は抜歯してインプラントにすることと自然歯を残すことのどちらを選択するかというレベルでお考えいただきたいと思います。
精密根管治療を希望する場合はどうすれば良いのでしょうか?
最初から予約で精密根管治療をご希望とおっしゃっていただいてももちろん結構ですが、他のドクターにもご相談いただいた場合でも、精密根管治療への移行をすることもできます。どうかご遠慮なくご相談いただければと思います。
最後に精密根管治療の特長をまとめてお話しいただけますか?
根管治療は下の2つに大別されます。
① 初めての根管治療(多くは抜髄)
② 再根管治療(過去の治療のやり直し)
① は、無菌的処置をきちんとして治療すればほとんど問題はなく、一般の歯科医でも高い成功確率があります。
② は難治化している事が多く通常通りやっても治らないことも多く成功率が低いため、アメリカでは歯内療法専門医に紹介することが普通になっています。
マイクロスコープ下で治療を行えば、安全に古い修復物が除去できたり、不必要な歯の削除を防ぐ事ができます。
その結果、長期的には歯根破折を予防できると期待できます。精密根管治療は今までなら抜歯しかありえなかったような難しい根管治療に歯を保存する道を開く新しい歯科治療です。
そのためには設備、技術、治療法すべてが新しいものが必要になります。精密根管治療を検討される患者さんには十分にご説明とご理解を差し上げていきたいと考えております。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。