2018年3月24日
歯石は歯にこびりついた文字通り石のように硬いものです。食物残滓は口の中の菌に分解されてネバネバした物質になったプラークになります。歯石はそのブラークが唾液に含まれる石灰分により固められることでできます。
唾液の中の石灰分は、石灰分を失った(脱灰した)歯の表面を再石灰化する働きがあります。虫歯の主成分は石灰質でできていますが、その石灰分は酸性の物質(その多くは糖分が口内細菌で分解されたことで作られます)に触れることで失われます。これを脱灰と言いますが、唾液に含まれている石灰分は失われた石灰分を補給する歯の再石灰化を行います。
脱灰と再石灰化がバランスされることで、歯の健康は保たれます。しかし、再石灰を行う善玉の石灰分がプラークを歯石にすると悪玉になってしまいます。
歯石自体は硬い石のようなもので歯周病の炎症を引き起こすことはありません。しかし、顕微鏡でみると歯石は無数の小さな穴があり、プラークが付着しやすい、いわば細菌の培地のような環境を作ります。
歯周病はプラークの中で繁殖した菌が歯茎に炎症を引き起こすことで進行します。歯石を除去するのは、歯周病の元凶の菌の培地を取り除くことになります。
歯周病や虫歯の原因となるのは口腔内の細菌です。そしてその細菌はプラークの中で増殖します。歯磨きやデンタルフロスはプラークを取り除き、歯周病や虫歯を防ぐ口内ケアの基本です。
ところが、歯石は歯磨きでもデンタルフロスでも取り除くことはできません。歯石は硬く歯や歯茎にへばりついていて、歯石を除去するのは歯医者や歯科衛生士が専用の器具を使って行うことが必要です。
歯石の中で歯や歯茎やの表面に付着しているものを歯肉縁上歯石と言います。縁上歯石はスケーラーと呼ばれる器具で比較的容易に取り除くことができます。しかし歯肉縁下歯石は簡単に取ることはできません。フラップ手術と言って歯茎を石灰して取り除かなければならなくなります。
歯石を作らないためには、プラークを除去する、つまり歯磨きやデンタルフロスをきっちりと行うことが基本です。しかし、どんなにていねいに磨いても、プラークを完全に取り除くことはできません。のこったプラークは歯石になっていきます。
歯石の付く速さは、歯磨きの上手下手や唾液の性質によっても違います。一般に唾液がアルカリ性の場合は歯石が付きやすくなります。逆に唾液が酸性の人は歯石は付きにくいのですが、虫歯になりやすくなります。これは虫歯が菌で分解されて酸性になった糖分によって引き起こされるからです。
とは言っても、歯石が付きにくい人でも歯石がまったく付かないわけではありません。定期的な歯石除去、できれば3ヶ月に一度は歯石除去を行うことは、歯周病予防に有効です。歯石を取りましょう。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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