2015年9月1日
インプラント治療
患 者 :28歳
状 態 :右上の1番前の歯が抜けた
来院理由:自転車を運転していた際に誤って転倒し、歯が抜けていたので治療のため来院。
【医師の診断結果】
初診の結果、インプラント治療を行うことになりました。インプラントは人工歯(インプラント体)を支える周囲の骨の量が一定水準であることが必要不可欠です。折れた歯を放置すると、骨の吸収が進んでしまい、インプラント治療自体が困難になるため、すぐに治療を開始することになりました。
口の中の写真とレントゲン画像(初診時)
医師の注目点
歯が抜けたので、このままだと歯を支えていた骨がやせ衰えるかもしれない。
(歯槽堤(しそうてい)吸収が想定される)
模型&模型用 ロウの歯作製(診断用ワクシング)
当院のインプラント治療は患者様と最終ゴールを決めた上で、治療を進めていきます。そのため、最初に模型をつくり、そこにロウで欠けた部位の歯を作って完成形の再現を行います。
Point
○治療後の状態を医師と患者が目で見られるようにする。
○歯肉が減ってしまった量を把握し、どれくらい歯肉を増やすかを判断する。
仮歯(プロビジョナルレストレーション)の作製
*模型製作後,あらかじめ作っておく仮の歯のことです。
通常使用する仮歯と違って歯肉の状態を整えたり、最終的な被せ歯の前により正確な微調整をしたりできます。
入れる予定のインプラント本体の位置に合わせて、作製した仮歯に穴を開けます。この穴は、インプラント本体と仮歯を固定するために締めるネジ穴用のものです。
CT画像
CT画像で右上前歯の骨の状態を全方位から確認でき、インプラントを入れる位置などを決定します。
Point
○上図は、右上前歯を正面からではなく横から見た画像を抜粋。
○白くなっている所は骨と歯で、これにより骨の密度や厚みが確認できる。
○青い部分は仮のインプラント。これによりインプラントの長さや太さが適切か治療前に確認できる。
インプラントの手術(一次手術)
○CT画像を参考に作った、外科用ガイド(マウスピースのような透明なものに金属の筒を付けている)を上の歯に装着します。
○筒の穴から骨を削るためのドリルを差し込むことによって、ドリルの向きがより正確になります。
○骨を削った後、インプラント本体を挿入します。
少ない歯肉を増やす為の作業①
インプラント本体の挿入後、暫くの期間、ヒーリングアバットメントという部品をインプラント本体に装着します。
理由:高さのある物を使って、減ってしまった歯肉が増えるためのスペースを作るためです。
少ない歯肉を増やす為の作業②
☆上皮下(じょうひか)結合組織の移植
インプラント本体の埋め込み後のレントゲン写真2種類
レントゲン写真から、所定の位置にインプラントが埋入されていることが確認できます。
その後インプラントと骨が結合するまで、3~6ヶ月程かかります。
1次手術→5ヶ月経過
5ヵ月後、減少していた歯肉を十分なボリュームまで増やすことに成功しました。
余分な歯肉の除去(二次手術)
専用の器具にてインプラントに被さっている余分な歯肉のみを切り取ります。
Point
利 点:余分な箇所以外は傷つけないので、患者の負担を可能な限り減らせる。
仮歯(プロビジョナルストレーション)装着
仮歯をつけて、最終的な差し歯をつけるまでの微調整を行います。
*見た目はほぼ完成ですが、仮歯のため強度などは最終的なものより劣ります。
歯肉調整(ティッシュスカルプティング)
内 容:インプラント本体から歯肉表面までの形を、道具を使って徐々に変形させる治療です。
方 法:間接法と直接法の2種類あり、当症例では間接法を採用しました。
専用の道具や仮歯を使って歯肉を変形させます。
上図のように、仮歯に厚みを足したりして歯肉を変形させて最適な形に調整します。
歯肉の調整によって、歯と歯茎の間がより自然な形に近づきました。
術前 仮歯装着後4ヶ月経過
*その後、最終的な差し歯を付けてインプラントの治療は終了します。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。