2024年1月6日
私たちの口腔内には、いろいろな種類の細菌が常在しています。その中にミュータンスレンサ球菌やP.g菌などが含まれているため、虫歯や歯周病になるのです。そうした一般には口腔内細菌フロートも呼ばれる口腔内細菌叢(こうくうないさいきんそう)は、生後4ヵ月には乳児特有の構成が見られるのですが、1歳6ヵ月では母親のものと類似していることが九州大学の研究グループによって明らかにされました。
つまり、1年2ヵ月という短い期間の中で、乳児の口腔内細菌叢に急激な変化が見られたのです。それは1歳6ヵ月の時点で、成人の口腔内細菌叢の土台が形成されたといっても間違いではないでしょう。
この研究は、福岡市に住む1歳6ヵ月児216名を対象に実施されたもので、口腔内細菌叢に上述したような変化が見られたケースでは、「甘味料の摂取が多い」、「果物の摂取量が少ない」、「離乳が完了していない」、「親と食器を共有している」という特徴が見られました。
乳幼児期の口腔衛生では「感染の窓が開く時期」という考え方がよく取り上げられますが、この研究ではまさにそれが具体的な事象として確認されたことを意味します。しかも感染の窓が開く時期は生後19~31ヵ月の1年間と定義されているため、実際はもっと早い段階で口腔内細菌叢に影響が現れるものと考えられます。
もちろん、これはあくまでひとつの研究結果でしかないため、絶対的な指標として捉えることは良くありませんが、生後1年未満の時期でも本人の食習慣や一緒に暮らす家族の口腔衛生状態には十分配慮しなければならないといえるでしょう。
とくに幼児期では1日に2回以上、甘味飲料を摂取していると、口腔内細菌叢のバランス異常をきたしやすくなるようです。小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、その点も意識しながら口腔ケアに努めてください。
参考:九州大学プレスリリース
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