喫煙で歯周病リスクは5倍に
2018年4月22日
タバコはなかなか止められない
喫煙が健康に良くないことは知られています。喫煙者は肺癌を始め多くの癌や成人病にかかりやすく平均寿命も短いこともわかっています。喫煙は本人だけでなく、周りの人も巻き込んで受動喫煙の害も引き起こします。そのため、禁煙の場所はますます増えて、喫煙者は肩身の狭い思いをさせられることも多くなっています。
そんな喫煙者の皆さんに追い打ちをかけるようですが、喫煙は口腔内の健康にも有害で、特に歯周病の大きなリスクにもなっています。日本臨床歯周学会によると1日10本以上の喫煙で、歯周病の罹患率はまったくタバコと吸わない人の5倍以上になるとされています。
喫煙は歯周病のリスクを大幅に増加する
喫煙が歯周病になりやすくする要因の一つはタバコの煙に含まれる一酸化炭素です。一酸化炭素は歯茎組織に酸素の供給を妨げ、血管を収縮させることで、酸欠、栄養失調の状態を作ります。
またニコチンは身体の免疫系を働きを阻害することで歯周病菌に対し歯茎を守りにくくし、さらに、歯に付着したタバコのヤニには菌が付きやすく、ヤニからニコチン成分が染み出し続けることになります。
ところが、喫煙を続けると歯周病の症状の一つの出血は少なくなり、歯茎の腫れも抑えられます。これは良いことのようですが、実際には進行している歯周病に気が付きにくくさせ、より歯周病を悪化させてしまう危険があります。
それだけではありません。喫煙は歯周病だけでなく糖尿病のリスクファクターでもあります。喫煙がインシュリンの働きを阻害することで糖尿病にかかりやすくなります。
糖尿病は歯周病の合併症と言われるほど歯周病との関連が深く、さらに歯周病が糖尿病のリスクを高め、糖尿病が歯周病のリスクを高める負の相関関係があります。
しかし、喫煙する方に朗報(?)があります。それは禁煙の効果は歯周病リスクに対して比較的短期間で現れるということです。例えば、喫煙による血管収縮のための出血量の低下は2週間程度で非喫煙者と同等になることがわかっています。
とは言っても、歯周病は大変完治が難しいもので、継続的な治療が必要です。歯周病により一度失われた歯槽骨の回復は困難です。また、禁煙が早期に効果を現わしても、完全に非喫煙者のレベルまで落ち着くには10年以上かかると言われています。つまり、歯周病の害から歯茎と歯を守るためには、一日でも早い禁煙が必要ということです。
禁煙するなら一日も早く!
ご参考
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