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変わる矯正治療-審美から予防そして歯科治療への土台へ

2022年12月3日

 

日本人は平均寿命はトップクラスです。それは優れた医療を誰でも容易にアクセスできる健康保険制度に支えられています。その日本を訪れた外国人(先進国と限りません)が気が付くのは、日本人の歯並びの悪さです。口臭のある人が多いと、こっそりと指摘する外国人もいます。日本は歯科治療については医療先進国として例外的に遅れているのです。

 

外国人からみると「歯医者は歯が痛くなってから行く所」と思う日本人が多いのも驚きです。健康保険で歯の治療ができない、できても限定的な国が多い中で、日本は歯科治療も保険の範囲内と思う人が大半です。

 

 

 

健康保険で歯科治療ができる日本で、矯正治療の普及率は高くありません。矯正治療は虫歯や歯周病と違い病気を治すのではなく美的な満足度を高めるためと考えられているので、健康保険の適用範囲ではないからです(骨格の原因で咀嚼に支障があるような場合は例外です)。

 

しかし、矯正治療は決して審美性のためにだけに必要なものではありません。歯並びが悪いと歯垢が溜まりやすく、虫歯や歯周病の原因となるからです。歯科治療が高額になる国で、矯正治療の必要性が強く認識されているのは、矯正は審美性と同時に、あるいはそれ以上に予防のために大切と思われているのです。

 

歯周病は虫歯以上に歯を失う原因となっています。高齢者できちんと自分の歯で咀嚼できる人と、そうでない人は認知症にかかるリスクに大きな差があることが知られています。それだけではありません。歯周病は糖尿病の合併症と言われるほど、糖尿病で悪化し、同時に糖尿病のリスク要因となります。

 

矯正治療は虫歯や歯周病を減らすという意味で予防歯科で非常に重要な位置を占めています。その矯正治療は新しい役割が期待されています。それは口腔内の状態の根本的な改善です。

 

 

 

インプラントや被せ物では、歯の配置が咀嚼力やインプラントの埋入本数の違いに影響することは少なくありません。矯正治療と組み合わせることで、理想的な歯の配置の下で歯科治療ができれば、結果は大きく違います。歯の治療は一本の歯、虫歯や抜歯する歯の治療だけで終わるわけではありません。目指すのは咀嚼力の向上と維持です。矯正治療は歯並びの再配置で口腔内全体の咀嚼力を改善する、言ってみれば土台作りの役割を求められるようになってきているのです。

 

矯正治療は審美のためにするものというのは、世界標準ではありません。矯正治療は予防歯科さらに口腔状態の根本的改善のための土台作りへと大きく変わってきているのです。

 

 

 

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