2024年6月20日
眠っている時に呼吸が止まる「閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)」は、肥満の中高年だけでなく、妊娠中の女性にも起こりやすいことをご存知でしょうか?これは妊娠期に体重増加が増加したり、ホルモンバランスが乱れたりすることが原因で、妊娠初期には10.5%、妊娠後期になると26.7%がOSAを発症しているといわれています。しかも、妊娠期のOSAは母体のみならず、お腹の赤ちゃんにまで深刻な悪影響が及びかねないため、十分な注意が必要です。
東京医科歯科大学では、妊娠期のOSAに罹患したマウスと正常なマウスを比較して、生まれてきた子供の成長阻害リスクを検証しました。その結果、妊娠期OSAによって母体に間欠的低酸素症を発症したマウスの子供には、顎骨の成長阻害が見られたのです。具体的には、胎児期に低酸素曝露された子供は、下顎骨の高さや幅が十分に成長しませんでした。これは、低酸素に応答する形で転写因子(HIF-1α)がたくさん作られ、骨の元となる軟骨の増殖が抑えられてしまったことが直接的な原因といえます。
OSAはそもそも自覚していない人も多く、とりわけ身体にさまざまな変化が現れる妊娠期には見落としがちです。さらにそれが子供の顎の成長を阻害する原因になるとは、想像さえできないことでしょう。もちろん今回の研究で明らかになったのは、「妊娠中の睡眠時無呼吸症が子供の顎の成長を阻害し得る」ということなので、これから妊娠を予定されている方や妊娠中の方は、あくまでそのリスクがあるという点を理解していただけたらと思います。
ちなみに、妊娠期のOSAは、流産や切迫早産、発達障碍児の出産の原因になることも指摘されています。間欠的低酸素症は、母体にとって悪い症状であることは間違いないため、心当たりのある人は早期に専門の医療機関を受診しましょう。
参考URL:東京医科歯科大学プレスリリース
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