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ボツリヌス菌製剤(ボツリヌストキシン製剤)はなぜ歯ぎしりに効果があるのか

2018年6月6日

歯ぎしりは無意識に強い力が歯や歯茎にかかる



ボツリヌス菌製剤、正確にはボツリヌストキシン製剤と呼びます。一般にはアロガン社の商品名であるボトックスの方が知られているでしょう(商品名の「セロテープ」のようなものですね)。ボツリヌス菌は極めて強い毒性をもっていて食中毒の原因菌として知られていました。ボツリヌストキシンはボツリヌス菌生成する毒性成分の名前です。

ボツリヌストキシンは強い毒性で知られており、生物化学兵器の材料とされたこともあるほどです。その危険なボツリヌストキシンが医療用として使われるようになったのは、その毒性のメカニズムそのものが利用できることがわかってきたからです。

ボツリヌストキシンは神経の伝達物質を阻害します。つまり、とボツリヌストキシンは神経が働くなることで四肢や呼吸が麻痺することで毒性を発揮します。そのような恐ろしいボツリヌストキシンですが、神経の働きを妨害することで様々な医療用途が開発されてきました。

当初は、斜視や顔面痙攣の防止、あるいは多汗症の抑制などに使用されてきたボツリヌストキシン製剤なのですが、神経の働きを妨害すること、つまり筋肉を弛緩させるというで作用が美容分野で注目されるようになりました。

ボツリヌストキシン製剤は皺取り効果で美容に広く利用されている



美容分野では皺取りは若い顔貌を取り戻す上で大切ですが、その方法として皮膚を切り取って引っ張るような外科的方法ではなく、ボツリヌストキシンの筋肉弛緩の作用を利用する、内科的な療法オの効果が注目されてきたのです。

現在、ボツリヌストキシン菌製剤の美容目的での使用は年間数百万例に達していると言われています。そしてそれだけ多数のボツリヌストキシン菌製剤が使用されているにもかかわらず、大きな事故の報告はありません。ボツリヌストキシン菌製剤の安全性は多くの実績に裏付けられていると言ってよいでしょう。

そのボツリヌストキシン菌製剤を歯ぎしり、喰いしばりのような歯科分野で活用することは比較的最近始まりました。歯ぎしりや食いしばりの直接の原因は筋肉の過度の緊張ですが、ボツリヌストキシン菌製剤の筋肉弛緩作用が有効と考えられるようになったのです。

マウスピースは歯ぎしりの対症療法としては有効だが



ボツリヌストキシン製剤は歯ぎしりそのものを止めますが、それ以前は歯ぎしり、喰いしばりにほとんど唯一の有効な対症療法はナイトガード(マウスピース)でした。ナイトガードは装着が面倒ですし、睡眠中に唾液が溜まりやすいといった不快な現象もあります。さらにTCHのように、昼間に歯をこすり合わせるような症状には対応できません。

ボツリヌストキシン製剤の歯科分野での応用の歴史は短いのですが、歯ぎしりや喰いしばりが歯や歯茎に与えるダメージが大きいにもかからわず、本質的な治療法が確立されていなかったことを考えると、今後は広く利用されるようになると予想されます。

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