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「良い入れ歯」を使うと死亡リスクが低くなる

2025年3月16日

 

失った歯を補う入れ歯は、「人工臓器」と表現されることもあるくらい重要な装置です。その重要性を裏付けるデータが大阪大学大学院歯学研究科の研究グループから報告されました。結論からいうと、口腔にしっかりと適合した「良い入れ歯」は、死亡リスクを低減することがわかったのです。

 

この研究では、大阪府の後期高齢者医療歯科健康診査を受けた186,893人を対象に、患者さんの「残った歯の状態」と「入れ歯の状態」、そして死亡リスクを追跡調査しました。残った歯の状態というのは、噛み合わせの状態を意味するもので、アイヒナー分類が使用されています。

 

その中で明確になったのは、奥歯の噛み合わせが悪い人ほど、死亡頻度が高くなるという結果でした。そこに適合性の低い「悪い入れ歯」が加わると、奥歯の噛み合わせが良い人(アイヒナー分類A1~A3)と比較して、死亡リスクが1.83倍も増加します。同じ噛み合わせの状態でも、入れ歯を装着していない人は奥歯の噛み合わせが良い人と比較すると、死亡リスクが1.79倍増加していました。

 

この点に驚かれた方も多いことでしょう。なぜなら奥歯の噛み合わせが悪い人が「悪い入れ歯」を使うと、入れ歯を使っていない人よりも死亡リスクが高くなるからです。もちろん、その差は微々たるもので、調査対象をさらに広げたら異なる結果が出てくるかもしれませんが、いずれにしても適合性が低い入れ歯というのは、口だけでなく、全身の健康にまで深刻な悪影響を及ぼしかねないのです。

 

今回の研究では、咬合状態や入れ歯の適合状態以外にも高血圧、糖尿病、高脂血症、認知症などの慢性疾患の有無、喫煙習慣、BMIなどの全身的要因も考慮しているため、統計学的意義は比較的高いと言えます。

 

このように、入れ歯というのは気軽に作れる補綴装置ではありますが、高い適合性を維持するのは簡単なことではありません。着脱式の装置ということもあり、入れ歯のコンディションは取り扱い方にも依存することから、患者さんの適合性等に細心の注意を払う必要があります。

 

それが難しい場合は、固定式の補綴装置であるブリッジやインプラントを検討するのも良いでしょう。もちろん、適合性の高い入れ歯を製作し、セルフケアもしっかり行うことができれば、お口や全身の健康維持・増進に寄与することも間違いありません。

 

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