「診る」こと「見る」こと
2020年8月16日
歯科治療の進歩に「見る」力が大きく貢献している
診察を行うことを「診る」と言います。読みは同じですが「見る」が目で何かを見ることですが、「診る」は歯医者や医者が症状を調べ、疾病の状態や治療法を検討することを指します。
「診る」ことは、患者様から症状を「聴く」ことから始まります。しかし、症状の原因、状態、治療法を決めるには「見る」ことが基本となります。そして、この20年ほどで歯科医の「見る力」は技術により飛躍的に向上しました。そしてその進歩に大きな貢献をしているのがITの力です。
肉眼で見ることも大切
レントゲンは昔からある機器ですが、デジタル化によりより鮮明な画像を得ることができるようになりました。CTは3次元で内部の構造を詳しく見ることができますが、これは多数のレントゲン映像をコンピューターが合成して3次元に画像を作り出すものです。
口腔カメラと誤解されることが多いですが、口腔内スキャナーは単に映像を移すのではなく、3次元的な歯の形をデータとして採取して、モニター上に映し出します。
口腔内スキャナーは歯の立体映像のデータを取り込む
口腔内スキャナーでコンピュータに取り込まれたデータは、診断だけでなく、マウスピース矯正のマウスピース制作に使ったり、技工物の作成にも使います。そしてCTその他のデジタル機器による映像と同様に、患者様と同じ映像を見ることができるばかりでなく、治療の将来予測シミュレーションを見ることも可能です。
デジタル映像は歯科医と患者様で共有できる
デジタル技術だけでなく歯の顕微鏡、マイクロスコープは数十倍に拡大して、患部を見ることができます。歯は非常に小さく、根管治療で根管の状態を目視だけで確認することは困難です。マイクロスコープの使用は根管治療の成績を大きく向上させました。
マイクロスコープだけではなく、ルーペを使用して治療するのは普通になりました。また、肉眼で見る場合でもLEDは熱さで不快な思いをすることなく、高い照度で患部を照らすことができるようになりました。
拡大鏡(ルーペ)を装着した歯科治療は普通になった
歯科治療は見る技術の進歩で、劇的と言っても良いほどの変化が進んでいます。先進的な機器を積極的に使用することで、治療はより精密に正確に行うことが可能になりました。「見る」ことは「診る」ことを大きく変えたのです。