くさび状欠損:WSD
2020年4月12日
さび状欠損で歯の根元の象牙質が露出した歯
くさび状欠損(WSD: Wedge Shaped Defect)とは歯と歯茎の間の歯頚部と呼ばれる部分の一部が失われることです。歯は表面をエナメル質と呼ばれる硬い部分に覆われていて、その下に象牙質があります。象牙質はエナメル質ほどは硬くなく、神経や血管の詰まった歯髄を覆っています。くさび状欠損では歯頚部のエナメル質が失われることで象牙質が露出してしまいます。
歯の表面はエナメル質で覆われ、その下に神経や血管が詰まっている歯髄を覆う象牙質がある
歯の根元になる歯頚部は、歯周病で歯茎が下がると象牙質が直接露出しやすい部分です。象牙質はエナメル質より弱いので、歯周病ではさらに歯質の喪失が加速されやすくなります。
くさび状欠損になると着色しやすい象牙質が露出することで、その部分の色が目立つことでもわかることが多くなります。また、エナメル質がないため象牙質の下の歯髄にある神経を冷水などが刺激して痛みを発する知覚過敏を起こしやすくなります。
くさび状欠損が起きる理由の一つは歯ぎしりです。強く噛むことで歯に負担がかかって欠けてしまうのです。歯ぎしりが強いと歯茎にも負担がかかることで歯周病が進行することもあります。歯ぎしりは直接、間接にくさび状欠損を進行させる要因です。
歯ぎしりがくさび状欠損を引き起こすこともある
その他、くさび状欠損になる大きな原因になるのは、誤ったブラッシングです。強い力で横にブラシを動かすことで、くさび状欠損になるのです。ただ、間違ったブラッシングはくさび状欠損のほとんど唯一の原因と長い間考えられていましたが、歯ブラシのおよばないところにもくさび状欠損は生じることから、噛み合わせの問題も重視されるようになってきました。
くさび状欠損は知覚過敏がそれほどでもなく、審美的に特に気にならなければ、そのままにして、歯ぎしりや歯ブラシの習慣を改めて悪化しないようにすることで構いません。しかし、痛みや着色が気になる場合は、レジンで欠損部を埋めるといった治療が必要となります。くさび状欠損は象牙質が露出することでプラークが付きやすくなったり、虫歯になりやすいといった二次的な問題の原因にもなります。何もしないということはお勧めできません。
正しくないブラッシングもくさび状欠損を引き起こす
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