2024年10月9日
「オーラルフレイル」という概念は、口腔機能の軽微な低下や食生活の偏りを含む高齢者の身体的衰え(フレイル)の一部として注目されています。これは、東京大学の辻哲夫教授や飯島勝矢教授らによる大規模な健康調査によって示され、厚生労働省の研究を通じて重要性が明らかにされました。
オーラルフレイルは、健康と機能障害の中間にあり、早期に対応することで改善可能な点が特徴です。症状としては、滑舌の低下、食べこぼし、わずかなむせ、硬い食品が食べにくくなる、口の乾燥などがありますが、これらは非常に軽微で見逃されがちです。したがって、早期に気づいて対処することが重要です。
高齢者が健康を維持するためには、社会とのつながりや共食などの「社会性」が重要であり、これが口腔機能の維持にも関わっています。歯周病や虫歯で歯を失った場合、適切な処置を受けることが必要であり、定期的な歯科医の診察も重要です。また、地域で開催される介護予防事業や口腔機能向上のための教室やセミナーも効果的です。
「8020運動」は、80歳で20本以上の歯を保つことを目指す国民運動で、現在では達成率が50%を超えています。この運動は、オーラルフレイルという新しい概念を加え、より健康で長寿を目指す取り組みとして進化しています。
今後、オーラルフレイルに関する研究や知見がさらに進展することが期待されており、急増する高齢者に対する適切な口腔ケアの必要性が増しています。日本歯科医師会も、この分野での研修や臨床の質を向上させる努力を続けています。
オーラルフレイルは、早期発見と適切な対応が健康寿命を延ばすために非常に重要であり、高齢者の生活の質を維持する上で欠かせない要素となっています。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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