
2025年5月15日
ストレスは、目に見えないものであり、数値化することは難しいのですが、驚くほど多くの病気のリスク因子になっています。口腔内の2大疾患のひとつである「虫歯」も例外ではありません。虫歯は、細菌が作り出す酸によって歯が溶けていく病気なのになぜストレスがリスク因子となるのか。
私たちが強いストレスに晒されると、口の中が乾燥します。これはストレスによって唾液の分泌量が低下するからです。唾液には、虫歯菌をはじめとした細菌の活動を抑える作用、酸性に傾いた口内環境を中性付近に戻す作用、歯を強くする作用、口の中の汚れを洗い流す作用などが備わっているため、その分泌量の低下には、自ずと虫歯リスクの増大を伴います。
普段から歯ぎしりや食いしばりをする習慣がある方は、ストレスによってそれらが増長する点に注意が必要です。強い緊張を強いられる状況で、ストレスや不安感を軽減するために歯をギリギリと擦り合わせた経験がある方も多いことでしょう。その結果、歯の摩耗が起こったり、歯質の一部が欠けたりして虫歯リスクが高まります。
ストレスにはさらに、全身の免疫力を低下させる作用があるのです。冒頭でも述べたように、虫歯は細菌感染症の一種です。細菌を排除する免疫機能が低下すると、お口の中の虫歯菌の活動が高まり、虫歯になりやすくなるのです。もうすでに虫歯になっている場合は、その進行が早まり、ズキズキとした歯痛が強まる可能性もあるため、虫歯とストレスとの関連は正しく理解しておくことが大切です。
このように、ストレスと虫歯には直接的ではないにしても、それなりに深い関連が認められます。そのため日頃から強いストレスを受けていたり、ストレスをためこんでいたりする方は、虫歯予防のためにもストレスを上手にコントロールしていきたいものです。ちなみに、歯周病は虫歯以上にストレスの影響を受けやすい病気です。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。