ダイレクトボンディング
2020年10月6日
虫歯で削った歯を修復する、歯の隙間を目立たなくする、そのためには被せ物(クラウン)や詰め物(インレイ)などの技工物を入れる、歯並びなら矯正などが必要です。
削る量がそれほど多くない比較的初期の虫歯、あるいは歯と歯の隙間がそれ程大きくない場合、ダイレクトボンディングという治療法があります。
ダイレクトボンディングはレジンと呼ばれるプラスチックの一種の物質を、歯に充填し光で硬化される治療法です。以前から行われていた治療ですが、レジン材料の進歩とそれを前提にした治療法の発達で、小さな修復量に対しては従来より速く手軽に高い審美性を得ることができるようになってきました。
歯と歯の隙間をダイレクトボンディングで治療した例
審美性の高いダイレクトボンディングで用いられるレジンは、セラミックの粒子を混ぜたもので、ハイブリッドレジンと呼ばれ、レジンとセラミックのハイブリッド(両方の性質を持つもの)です。
ダイレクトボンディングは文字通り「直接」歯の修復を行います。このため型取りの必要がなく、その日のうちに治療は終了します。また、多くの色が用意されていて、天然歯に非常に近い色調を作れます。しかも費用はセラミックの技工物や矯正と比べるとずっと安価です。
良いことずくめのダイレクトボンディングですが、いくつかの弱点があります。まず、耐久性がセラミックより弱く、経年変化で色調が変化します。また、強度もセラミックより劣ります。
ダイレクトボンディングの耐久性は3年から10年程度で、それも正しい口腔内ケアや定期的なクリーニングが必要です。また、歯ぎしりなど歯に負担がかかると寿命はさらに短くなります。
また、これは弱点とは言えませんが、歯科医の治療技術も高レベルなものが要求されます。それは型取りをせず、「直接」審美性の高い形状に仕上げなければならないからです。
ダイレクトボンディングは初期虫歯では削減量を詰め物と比べて少なくできるというメリットもあります。ダイレクトボンディングはメリット、デメリット理解すれば、優れた選択肢として活用できる治療法です。