プル、ペル、P急発: 歯が痛くなった時何が起きているか
2019年5月22日
歯が痛くなったらまず歯医者
歯は予防が大切、痛くなる前に治療しましょう、とは言っても、歯が痛くなってから歯医者に行くことになる場合は多いでしょう。歯の痛みは格別なので、痛くなったらとにかく歯医者に行くのは当然です。
とは言っても休日や旅行先で歯が痛くなって、すぐに歯医者で診察や診療を受けられない場合もあります。最近は処方薬だった鎮痛剤が市販されるようになったこともあり、取り合えず薬で痛みを抑えることもあります。しかし、歯が痛くなるのはなぜなのか、鎮痛剤で治まればそれでよいのか、何日も治療しないで大丈夫か、不安は残ります。
歯の痛む原因で主要なものは、プル(Pul)、ペル(Per),P急発の3種類があります。プルとは歯髄炎、つまり虫歯の痛みです。虫歯が進行して歯髄とと呼ばれる歯の内部の神経や血管が詰まった部分に到達すると、歯髄の中の神経が痛みます
歯髄まで虫歯が進むと、抜髄といって歯髄を除去することで神経を取ることが必要になってきます。神経を保存する生活歯髄療法が可能なこともありますが、虫歯が進行しているほど、難しくなります。また、抜髄は急性炎症の場合麻酔が効きにくいこともあり、その場合かなり辛い治療になることもあります。
虫歯はごく初期のうちは、フッ素塗布で進行を止めるとともに、唾液中の石灰分が虫歯で失われた石灰分を補給する再石灰化で削る必要もなく治療が可能です。プルの痛みが出てくるのは歯の表面のエナメル質の内側の象牙質に収められた歯髄が侵されてからです。プルの辛い痛みを避けるには定期的に検診を行うことが大切です。
ペル(Per)は抜髄した歯の根の炎症の痛みです。抜髄で歯の中の神経はもうなくなっています。ですからペルは歯の痛みではありません。抜髄をすると歯髄の抜けた根管という部分が残ります。抜髄時に根管の中が十分に殺菌されていない、薬が奥まで充填しきれていないといったことが原因で、Perの痛みがおきます。歯の根の炎症は根尖性歯周炎と言います。
治療法は根管を十分に消毒して薬を充填し、土台を立ててクラウン(差し歯)を被せます。しかし、この時に細菌が混入するなど、消毒し切れないためにペルの痛みを再発することもあります。再発、再治療を何度も繰り返すことはできず、最後は抜歯が必要になります。
ラバーダムは唾液の侵入を防ぐ砦
ペルの痛み、根尖性歯周炎を防ぐにはラバーダムというゴムの皮膜で歯を覆って唾液の侵入を防ぐことが効果的です。ラバーダムの使用は歯髄の治療の時点から必要です。しかし、ペルの痛みを発症したら歯科医による治療をしなければ、自然治癒はありません。
P急発は歯周病で歯茎が炎症を起こすために生じる痛みで、歯の痛みではありません。P急発は鎮痛剤で抑えて、自然に治ることはあるのですが、歯周病が治ったわけではありません。歯周病は歯石の除去を行い、口腔内ケアを行って、安定化、改善を行っていく必要があります。P急発の痛みが消えても病状が回復したわけではありません。
歯周病は気長な治療が必要
プル、ペル、P急発は歯の痛みの主な原因です。この他にも知覚過敏、食いしばりにや歯ぎしりによる痛みもありますが、痛みの強さ、持続性などは、この3者と比べれば軽くなります。もちろん、軽いからといっても歯ぎしりなど歯や歯茎に大きな負担をかけ、放置することは好ましくありません。歯の痛みは無視してはいけません。
歯の痛みにはいつも注意を