マウスピース矯正とワイヤ矯正
2019年6月9日
矯正治療にはワイヤーを装着する方法とマウスピースを装着する方法がある
欧米では「歯を社会的階級を表す」と言われるほど、整った白い歯並びが重視されます。また、矯正で子供の歯並びを整えることは教育同様に親の責任と考えるのは中流階級以上の親の常識です。アメリカでは政治家や企業リーダーで歯並びの悪い人はまず見かけないと言ってよいほどです。
日本でも矯正への関心は以前よりずっと高くなっています。それも子供や若い世代の人たちだけでなく40代、50代、あるいはそれ以上の年配の方で「矯正をしたい」という希望を持つ場合も多くなっています。
アメリカの政治家は歯並びに気を付けるのが常識
この矯正治療に大きく分けて二つの方法があります。一つはワイヤー(ブラケット)による矯正、もう一つはマウスピースによる矯正です。二つと書きましたが、どちらの方法もいくつも種別に分けられます。
例えばワイヤー矯正では裏側にワイヤーを付ける方法がありますし、マウスピース矯正はマウスピースの型取りを繰り返し行うものやコンピューターで歯の移動に合わせて予めマウスピースを何個も作る方法もあります。
マウスピース矯正はマウスピースの設計をコンピュータで行うものもある(写真はインビザラインのデザインをおこなっているITERO)
矯正治療は一定方向に向かうように歯に力をかけ、押された部分の歯槽骨(歯を支える骨)が吸収され、反対側の歯槽骨が生成されることで徐々に位置を変えることを歯を移動させます。
この原理はワイヤー矯正も、マウスピースも変わりません。しかし、それ以外のすべてと言って良いほど両者は違います。マウスピース矯正は歯の移動に合わせてマウスピースをいくつも取り替えていくのに対し、ワイヤー矯正は歯を動かすために定期的なワイーヤを原則毎月行っていきます。
ワイヤー矯正のワイヤー装置は自分では外せません。そのため歯を磨きにくく虫歯や歯周病のリスクがあります。マウスピース矯正は食事や歯磨きの時に自分で外し、自分で取り付けることができます。しかし、1日20時間以上装着し続けなければ効果が十分には出ませんし、食事後歯磨きせずにマウスピースを装着して就寝することで虫歯リスクが高まることもあります。
矯正のための歯の移動量が大きくなると、マウスピース矯正よりワイヤー矯正の方が優れていると言う人もいますが、歯列の状況により必ずしもそうとは言えません。そもそもワイヤー矯正とマウスピース矯正両方を行っている矯正医は多くはありません。矯正治療を自分の専門の方法で行うケースが多いと思われます。
ワイヤー矯正、マウスピース矯正それぞれどちらが自分の希望する治療法にマッチするかを判断し、その上でそれぞれの矯正法で矯正治療が可能かどうかを判断する。これが現実的な選択法ではないかと思います。
ワイヤー矯正も、マウスピース矯正も歯を動かすということは同じです。しかし、歯を動かすためにはスペースが必要でそのために便宜抜歯と呼ばれる抜歯を矯正のために行う必要がある場合があります。
便宜抜歯の必要性をできるだけ小さくするために、永久歯が生え揃う前に顎を拡大する方法があります。これは一次矯正と言いますが(これに対し永久歯に対する矯正を二次矯正とよぶこともあります)。一次矯正は床矯正と呼ばれる方法を用いるのが一般的です。
一次矯正を行っていると、二次矯正自体が不要になることもありますし、便宜抜歯の可能性も低くなります。歯並びは顎の形、歯の大きさや生える方向など様々な要素で変わります。お子様には一次矯正から矯正を考えるのは将来を考えると大切なことでしょう。
床矯正の装着装置