ラバーダムって何のため?
2020年5月4日
虫歯はラバーダムで歯を覆って唾液の侵入を防ぐことが必要
ラバーダムは歯を覆う薄いゴム製のシートです。ラバーダムを治療する歯の周囲に被せる「ラバーダム防湿」は虫歯治療では非常に重要な役割を果たします。それはラバーダムは唾液が虫歯の患部に侵入することを防ぐからです。唾液の中には多くの細菌が含まれていて、細菌を防がずに虫歯治療を行うことは、予後の二次虫歯の発生リスクを高めます。
特に、歯の根の治療、根管治療ではラバーダムは必須と言っても過言ではありません。しかし、残念なことにラバーダムを使用している歯科医院は一部に限られています。
ラバーダム防湿を行うと、「無菌的処置」が可能となります。根管治療というのは、そもそも歯の根の中に存在している根管を滅菌、消毒する操作です。その過程で、周囲から唾液が入り込んだりしたら、いつまで経っても根管内の無菌化が果たされません。周囲の組織から患歯を隔離するラバーダム防湿をすることで細菌の侵入が防げることになります。
根管治療ではラバーダムは必須
同時に、歯茎や舌、隣の歯などがラバーダムシートによって保護されることから、周囲の軟組織や隣在歯の損傷を防ぐことにもつながります。根管治療でも、いろいろな切削バーや薬剤を使用するので、歯や歯茎を傷つけるリスクを小さくする意味でもラバーダムは有効です。
さらに、ラバーダムシートが口腔全体を覆うことで、器具の誤嚥を防止することが可能となります。歯科治療で使用する器具は、とても小さなものが多く、口腔内で落下させると誤嚥してしまうリスクは無視できません。ラバーダム防湿には、そうしたリスクをほぼゼロにする効果も見込めます。
ラバーダム防湿は多くのメリットがあります。ラバーダムを装着する手間は無視できませんが、二次虫歯のリスクや根幹治療を行っても予後の成功率を高めるために非常に大切です。虫歯治療、根幹治療でラバーダムを装着することが常識となっていくことが望まれます。