八重歯を治しましょう
2019年4月11日
八重歯は可愛い?
八重歯というのは小さな牙のように飛び出している上の前歯のことを言います。歯がきれいに揃わずバラバラの方向に生えている状態で歯科では叢生(そうせい)と呼ばれるものの一種です。牙のようにちょっと歯が飛び出しているわけですが、日本では「可愛い」と考える文化があり、八重歯を売り物にしたアイドル歌手がいたこともあります。
しかし、八重歯は小さな牙のように見えるということで欧米ではあまり好まれていません。少なくとも可愛いというより、歯並びが悪いと思われてしまいます。日本でも最近は八重歯を可愛いという人は減ってきたようです。
八重歯に限らず、叢生して歯並びが整っていないと、歯の間に食べ物がつまりやすくなります。八重歯もそのままにしておくと、食物がつまることでプラーク(歯垢)が付着しやすくなることで、歯周病や虫歯になりやすくなります。それだけではなく噛み合わせという点でも八重歯は好ましくありません。
歯並びが揃っていると歯周病や虫歯のリスクが減る
例外もありますが、八重歯になるのは3番目の前歯、犬歯がほとんどです。犬歯は歯の中で一番大きく、丈夫な歯です。犬歯が八重歯のように飛び出していなければ、犬歯誘導と言って、横方向に顎を滑られた時、犬歯が誘導して奥歯に隙間があるのがバランスの良い噛み合わせとされています。しかし、八重歯のように犬歯が飛び出しているとそれは不可能です。
犬歯が八重歯になりやすいのは、犬歯が永久歯の中で一番後に生えてくることが大きな原因です。つまり、犬歯が生えて来る時、顎のスペスが一杯になって、飛び出して生えるしかなくなるのが八重歯ということになります。この現象は顎が小さいとより起きやすいので、きゃしゃな顔立ちの女性が八重歯になりがちなのが「八重歯は可愛い」と思われることにつながったのかもしれません。
しかし、正しい噛み合わせのためには八重歯は治した方が良いのは間違いありません。八重歯を削ったり、抜いたりして解決しようと考える方もいるのですが、丈夫な犬歯は大切ですし、無理に抜いてしまうと隙間ができることで両側の歯が倒れ込んでいくといった問題が起きます。
基本的には八重歯は矯正治療で治すことが勧められます。多くの場合八重歯の位置を動かすスペースを確保するために小臼歯を抜歯しますし(便宜抜歯と呼びます)、時間も費用も矯正治療には必要です。しかし、八重歯に対する審美的評価がマイナスになっていること、何より虫歯や歯周病のリスクを下げ、正しい噛み合わせを得るためにも八重歯は治しましょう。