咬合性外傷
2019年5月27日
睡眠中の歯ぎしりは咬合性外傷を引き起こす可能背がある
咬合性外傷とは、強く噛むことで歯や歯茎(歯周組織)に損傷を受けることです。咬合性外傷になるのは咬合力、つまり噛む力が強すぎるからですが、硬いものを強く噛むことで咬合性外傷になることは、あまりありません。咬合性外傷は食べる時よりも睡眠中の歯ぎしりで起きることが多く見られます。
咬合性外傷の原因となるのは睡眠中の歯ぎしりだけではありません。日中に歯ぎしりをする癖がある、あるいは歯ぎしりや強い力で噛まなくてもTCH(歯列接触癖)といって日常的に歯と歯を接触させる人は咬合性外傷を起こすことがあります。
TCHは歯と歯を接触させるだけで、強い力で噛んではいないことが多いのですが、通常歯と歯が咀嚼のために接触するのは一日20分程度と言われていることを考えると、持続的に噛んでいる状態はかなり負担になってしまいます。
マウスピースは咬合性外傷を防止する
咬合性外傷は歯にヒビが入ることで知覚過敏を起こすことがあります。知覚過敏は歯の中に収められている神経組織が直接冷水などが触れることで起こります。
咬合性外傷による損傷でより重大なものは、歯周組織、歯槽骨(歯を支える骨)を傷めることです。特に、歯周病が伴うと、普通の歯周病より早く歯周組織、歯槽骨の吸収が起こり重症化する危険があります。また、咬合性外傷だけで歯周病になることもあります。
咬合性外傷の原因となりうるのは、歯ぎしりやTCHの他に噛み合わせが合っていないために、歯に負担がかかることもあります。これは技工物(クラウン、インレーなど)の適合が悪い時も起こります。このような場合は歯医者で技工物の調整を行う必要があります。
歯ぎしりは就寝中ナイトガード(マウスピース)を装着することで咬合性外傷のリスクを大幅に小さくすることができます。しかし、TCHにはマウスピースを日常的に装着する不便さがあります。TCHにはボツリヌス菌製剤を注射することで、噛む筋肉を弛緩させて治療する方法もあります。ボツリヌス菌製剤注射は歯ぎしりにも有効な治療法です。
ボツリヌストキシン製剤は不必要な噛み合わせそのものを止めさせる
咬合性外傷は名前の印象が恐ろしげですが、歯周病と組み合わさった時は歯を失うことにもつながる可能性がある怖いものであることも確かです。歯ぎしりくらいと軽く考えずに対応策をとることが望ましいと言えます。