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埋伏過剰歯

2020年5月10日



私たちの歯は、乳歯が全部で20本、永久歯は親知らずも含めると32本生えてきます。人によっては、この数よりも多い歯が生えてくることがあります。それを「過剰歯(かじょうし)」といいます。

歯は数に限りがあり、再生することもないので、過剰に生えるのは良いことのようにも思えます。しかし、過剰歯が口腔内の健康や発育において有利に働くことはまずありません。とくに注意が必要なのは、成長期における「埋伏過剰歯(まいふくかじょうし)」です。

例えば、乳歯列期に前歯の位置に過剰歯が歯槽骨に埋まっていたとしましょう。これを「正中埋伏過剰歯」といいます。その近くには、次に生えてくる永久歯の前歯も存在しており、とても窮屈な状態となります。

そのまま歯の生え変わりの時期を迎えても過剰歯が消えてなくなることはありませんので、永久歯もそれを避けるようにして萌出します。その結果、「正中離開(せいちゅうりかい)」といった歯並びの異常を引き起こすのです。

埋伏過剰歯の位置によっては、前歯の萌出を妨げることもあります。「前歯がなかなか生えてこないな」と思っていたら、過剰歯が邪魔をしていた、というケースは珍しくありません。ですから、埋伏過剰歯というのは、トラブルの元になる場合、抜歯をした方が良いといえます。

過剰歯は文字通り「過剰な歯」なので、プラスに働くことはありません。そもそも歯の形や色、大きさなども未成熟であり、歯としての機能を十分に果たすことができないのです。

ただし、トラブルの元にならないような埋伏過剰歯であれば、そのまま放置することもあります。いずれにせよ、埋伏過剰歯というのは、レントゲン撮影などを行わなければ正確な診断が行えません。また、小児の歯並びの異常の原因として、埋伏過剰歯が存在していることもあります。

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