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妊娠中の口腔ケア

2019年4月9日



妊娠をした女性でつらい最初のハードルはつわりです。四六時中吐き気が遅い、食べることもできない。お腹の中の胎児を育てるためにも、栄養が必要なはずなのに、なぜつわりのようなものがあるのでしょうか。つわりは全く無駄なものなのでしょうか。

恐らくそうではないでしょう。つわりは妊娠の初期、妊娠に本人も気づかないと時から襲ってきます。妊娠検査薬などない時代、つわりは妊娠の兆候を知らせる役割がありました。そして、食べられず日常生活にも不自由を感じるほど体調が悪いということは、妊婦に無理をさせないという効果があるでしょう。

そしてつわりは流産の危険が小さくなる安定期、妊娠後16週ほどすると嘘のように消えてしまいます。この頃からお腹も少し目立つようになってきて、栄養も本格的に摂る必要が出てきます。逆に言えば、胎児が非常に小さい妊娠初期ではつわりを押して無理に食べなくても胎児には大きな影響はないでしょう。

それでは歯科治療はどうでしょう。歯の治療は、麻酔、レントゲン撮影、痛み止めの服用などが必要になることが多く、少なくとも妊娠安定期に入るまでは積極的には勧められません。ただ、妊娠に気がつかないで歯科治療を受けることも考えられます。その意味ではつわりが真っ先に妊娠を知らせてくれるのは意味があります。

しかし、つわりになることで歯磨きがつらくなりプラークコントロール(歯垢の除去)が難しくなることはあります。食べ物の嗜好が変わり、菓子類を何度も食べてしまうということもあります。このため虫歯のリスクが高くなります。一方、妊娠でホルモンバランスが変化して歯肉炎を起こしやすくなることもあり、プラークコントロールの必要は普段以上に高くなります。

それでは妊娠中に歯の治療が必要になる、あるいは妊娠に気がつかないまま歯科治療を受けた場合はどうすればよいでしょうか。妊娠中、特に安定期に入る前までは歯科治療は避けた方が無難ですが、歯科治療はレントゲンの被曝量、麻酔の使用量は小さく、リスクは大きくはありません。

歯の根の部分が炎症を起こす根尖性歯周炎などは激しい痛みを伴うことも多く、歯科治療がどうしても必要になる可能性もあります。このような場合は歯科医に妊娠中であることを告げ、必要最小限の応急処置にとどめ、本格的な治療は安定期、できれば出産後に行うことが望ましいでしょう。

歯科疾患の多くは正しい歯磨き、検診、歯石除去といった日頃の口腔ケアを行うことで防ぐことができます。口腔ケアの大切さは誰でも同じですが、特に妊娠の可能性のある女性は一層口腔ケアに気を付けることが勧められます。

参照

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