2020年3月29日
歯周病は「高齢者がかかる病気」と思われがちです。確かに歯周病のリスクが高くなるのは30歳を超してからだといわれています。これは若い人は新陳代謝が活発なので、歯茎が歯周病菌で侵されても回復する力が強いからだと考えられます。
しかし、若年性歯周炎(侵襲性歯周炎)という病気があるように、若い人でもまったく歯周病にならないわけではありません。それどころか、思春期に入る前の子供も歯周病になる可能性があるのです。
例えば「萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)」というのは、その名の通り歯が生える時にかかる歯周病で、歯茎に炎症が認められます。歯が生えている最中は、歯磨きがしにくく、汚れが溜まりやすくなっています。その結果、歯周病菌が繁殖して歯肉炎を発症してしまうのです。これは乳歯から永久歯に代わる小学校の時期にも発症するリスクがありますので注意が必要です。
呼吸の仕方によっても歯肉炎が誘発されることがあります。具体的には「鼻呼吸」ではなく「口呼吸」をしていると、歯肉に炎症や肥厚などの症状が現れることがあります。口呼吸は、口腔内を乾燥させて細菌の繁殖を促すだけではなく、歯並びの異常にもつながるため、早期に改善することが勧められます。
次に、全身の病気が原因となる子供の歯周疾患についてです。代表的な病気としては「パピヨン・ルフェーブル症候群」と「低ホスファターゼ症」が挙げられます。パピヨン・ルフェーブル症候群は、手足の皮膚に異常な角化を示す病気で、重度の歯周組織破壊が見られることがあります。その結果、乳歯が早期に脱落し、歯が1本もない「無歯顎(むしがく)」となる場合も多いことが知られています」。
低ホスファターゼ症は、骨の形成不全が見られる病気で、歯を支える歯槽骨にもさまざまなトラブルが生じやすくなります。いずれも一般的な病気とはいいがたいですが、小児期に重度の歯周疾患を患っているケースでは、要注意といえます。
このように、まだ永久歯も生えそろっていないような年代でも、歯肉炎を発症することがあります。過剰に心配し過ぎることもありませんが、子供の歯茎に異常が心配な時はできるだけ早期に小児歯科を受診するようにしましょう。
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