差し歯の色々
2019年3月30日
差し歯は見た目にも噛むためにも大切
差し歯は歯の上に被せて歯の形を整え、咀嚼力つまり正しく噛むことができるようにするものです。差し歯という言葉から、抜歯したところに入れる人工歯と思う人もいるのですが、抜歯をすると歯の根も無くなってしまうので、差し歯は使えません。差し歯には土台の歯に被せる技工物です。
差し歯は被せ物という呼び方もします。こちらの方が抜歯後に差し歯を装着すうと誤解されにくいかもしれません。また、英語のクラウンという言い方もあります。クラウンは日本語では冠です。差し歯には材質や作り方でいくつか種類がありますが、種類ごとにXX冠といった名前がつきます。
抜歯をすると差し歯は使えません
差し歯には次のような種類があります。
●1 硬質レジン前装冠
●2 硬質レジン冠
●3 メタル冠
●4 メタルセラミック冠
●5 オールセラミック冠
●6 ジルコニア冠
ずいぶん沢山ありますね。
●1,●2で使われるレジンとは一種のプラスチックです。色が白く、健康保険が適用されますが、強度は高くありません。そこで金属にレジンを張り付けたものが●1の硬質レジン前装冠です。●2の硬質レジン冠はレジンだけなので、長い間使うことは勧められません。
これに対し●3のメタル冠は強度は強いのですが、メタルつまり金属なので、見た目が劣ることと土台となる歯との密着性があまり高くなく、二次虫歯(虫歯の再発)が起きやすいという欠点があります。ただ、健康保険の適用はできませんが、金冠はいわゆる銀歯(実際には金やパラジウムのような貴金属を3割ほど含んでいます)よりは二次虫歯や金属アレルギーのリスクは小さくなります。奥歯のように見た目の影響が少なく強い噛み合わせのため強度が要求されるような時は良い素材です。
差し歯の色々(中央の白いものはセラミック)
●4のメタルセラミック冠はメタボンとも呼ばれることの方が多いのですが、金属にセラミックを貼り付けものです。強度が高くセラミックであるため美的にも優れています。しかし、内部の金属が後ろから見えることや金属の上にセラミックを貼り付けても天然歯のような透明感には欠けるため、最近は●5のオールセラミック冠を使うことが多くなりました。
●6のジルコニア冠はダイヤモンドに次ぐ強度を持つジルコニアを用いたものです。ジルコニアが人造ダイヤにも使われることから非常に美しいと言われることもあるのですが、実際はオールセラミックの方が透明感のある美しい差し歯を作ることができます。このためジルコニアを使うのは噛み合わせが強く、強度が要求されるような場合になります。
最初に抜歯すると差し歯は使えないと書きましたが、抜歯しても歯の根の代わりにチタンネジを土台としてそこに差し歯を装着することができます。これはインプラントと呼ばれる治療です。インプラントも差し歯に相当する部分は色々な材質を選ぶことはできますが、実際にはインプラント自体の費用がかかるのでオールセラミックを選択するのが一般的です。
参照