2021年5月5日
一般的な根管治療では、「ステンレスファイル」と呼ばれるヤスリのような器具で、歯髄の除去・根管の形成などを行います。ステンレスはとても丈夫な金属で、折れにくい、硬いものを削りやすい、といったメリットがありますが、繊細な根管壁に対する処置には向かない場面も出てきます。
例えば、根管が彎曲している症例で頑強なステンレスファイルを用いると、根管口から直線的な形成しかできず、誤って根管壁を穿孔してしまうことがあります。これはパーフォレーションといいます。根管壁に穴が開いてしまうと、歯そのものを保存できなくなるケースも少なくないことから、可能な限り穿孔のリスクは低くすることが望ましいのはもちろんです。
そのために有用なのが「ニッケルチタンファイル」です。ニッケルチタンは、形状記憶合金として知られている素材で、高い柔軟性も備えています。彎曲した根管に挿入しても、直線的に進むのではなく、根管のカーブに追従するように進んでいくため、パーフォレーションのリスクが極めて低くなります。何より、理想的な形で根管を形成できることから、治療の精度も格段に向上するのです。
ニッケルチタンファイルは高価ですが、ニッケルチタンファイルとステンレスファイルを必要に応じて使い分けることで、より精密で高度な根管治療を行うこととができます。
さらに、無菌的な根管処置を実現するラバーダム防湿、根管内の構造を正確に把握するデジタルレントゲン、歯科用CT、マイクロスコープ、根管長測定器なども活用しながら、根管治療の精度を非常に高く行うことができます。
根管治療は、重症化した虫歯で歯を保存するための最後の砦です。これを成功させるかどうかで、天然歯の保存の可否が決まると言っても過言ではありません。その根管治療の精度を高めるために、ニッケルチタンファイルの役割はとても重要です。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。