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歯医者は通いは痛くなったらの間違い

2019年10月16日

虫歯の痛みが出るのはかなり進行してから



歯は予防が大切と言われますが、「最近は歯が痛むことはないので、歯医者には行っていません」と言う人が多いのも事実です。しかし、これはあまりに口腔内の健康に無関心と言わなくてはなりません。そもそも日本人が歯を失う一番大きな原因の歯周病は、特に痛みのないまま進行するのが普通です。痛くなることもなく歯周病で歯を失うこともあり得ます。

歯医者に行く原因となる「歯の痛み」の原因はほとんど虫歯です。しかし、虫歯も痛みが出るのはかなり虫歯が進行してからです。虫歯進行状態でC0、C1、C2、C3、C4と5段階に分けられますが、痛みが出るのは第3段階のC2からで、それでも痛みが出ないこともあります。確実に痛みが出るのはC3つまり虫歯としては最終段階に近づいた状態です。虫歯がC4になると事実上抜歯不可避となります。

C1→C2→C3→C4に虫歯が進行する様子



虫歯の一番初期段階のC0は歯の表面の石灰分がわずかに侵されて白濁した状態です。この段階では痛みが出ないのはもちろんですし、削ることもなくフッ素塗布を行って歯磨きをきちんと励行することで進行が止めることができます。これは唾液の中に含まれるカルシウム分で失われた石灰分を再石灰化という作用により取り戻すことができるからです。

C0の虫歯は小さな白濁程度のため歯科医師が見逃してしまうこともあります。特に歯と歯の隣接した部分にできたC0の虫歯は発見が困難です。目視では難しいC0の虫歯ですが、近赤外線による検査をすることで、C0の虫歯をずっと容易に見つけることができる口腔内スキャナーが利用可能になってきました。

虫歯がC1の段階になると歯の表面のエナメル質の部分が変色するので目視はより簡単になります。C1の虫歯でも初期のものであれば、削らずにフッ素塗布を行い、再石灰化で進行が止まることを期待して経過観察を行うことも少なくありません。削る必要が出てくるのはC1の後期、さらにエナメル質の下の象牙質が侵されたC2になってからです。

C2では歯髄と呼ばれる象牙質に収められた神経や血管のある部分には虫歯は達していません。痛みがあるのは虫歯の部分から象牙細管という象牙質を作る細い管の束や象牙質のヒビから神経が刺激された場合です。この痛みは知覚過敏の痛みと同様のもので、治療も比較的わずかに削るだけですみます。

虫歯が歯髄まで達するC3の段階になると、虫歯は時に激しく痛みます。また、治療は再発を防止するために軟化象牙質と言われる虫歯に侵された部分を完全に除去する必要があり、削減量も多くなります。削減量が多くなると詰め物ではなく被せ物や差し歯と呼ばれる冠(クラウン)で歯を覆う必要があります。

C3で治療をして被せ物や詰め物で治療しても、虫歯が再発することがあります。これは虫歯の取り残しや、詰め物の隙間から虫歯菌が侵入する場合もありますが、虫歯治療の時に唾液が患部に混入して、唾液の中の細菌で歯の根の炎症が起きることが原因にもなります。これを防ぐには治療の際、ラバーダム(ゴムの被膜)で患部を覆って治療することが大切です。

ラバーダムで歯を覆って唾液の侵入を防ぎながら治療を行う



虫歯がC3からC4になると歯質が大きく失われ、歯の保存は難しくなります。つまり「歯が痛くなる」C3というのは多くの場合、抜く一つ手前の段階です。歯の痛いのは辛いですが、歯を失うと隣の歯や反対側の歯に負担がかかったり、歯並びが悪くなるといったことが出てきます。痛みの出ない歯周病、痛みが出た時には相当に進行している虫歯を考えると「歯医者は通いは痛くなったら」行くところというのは大きな間違いです。

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