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歯周病から虫歯になる上行性歯髄炎

2020年5月27日



虫歯が進行すると、表面のエナメル質、その下の象牙質が侵され、さらに象牙質に覆われた歯髄に達します。歯髄には神経や血管があるので、歯髄が炎症を起こすと激しい痛みが出ます。これが虫歯の痛みです。

しかし、歯髄炎は虫歯の進行だけではなく歯周病が原因となることがあります。歯周病が原因で発症する虫歯は、歯冠部に異常は認められません。口の中に露出している歯質は虫歯菌に侵されていないからです。歯周病が進行して歯肉が侵されると、歯の根の先にある「根尖孔(こんせんこう)」という穴から細菌による感染が生じることがあります。これは「上行性歯髄炎(じょうこうせいしずいえん)」と呼ばれています。

上行性歯髄炎は、虫歯と同様に細菌感染で歯痛が生じる点は通常の虫歯と共通していますが、感染経路がまったく逆なのです。本来であれば最後に感染が起こる歯の根の先から細菌に侵され、上へ上へと広がっていきます。「上行性」という名前が付けられているのはそのためです。

歯周病の進行防止のための歯石除去



上行性歯髄炎の原因は、進行した歯周病です。歯周病が進行すると、歯と歯茎の間にある歯周ポケットが深くなってきます。それが歯の根っこの先付近まで到達すると、そこで虫歯の原因菌も繁殖や感染が生じ、歯髄炎を引き起こします。あるいは、隣の歯の「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」から感染が広がるというケースもあります。



いずれにせよ、上行性歯髄炎は歯冠部に全く異常が認められないにも関わらず、急性化膿性歯髄炎とほぼ同じような症状が現れます。上行性歯髄炎を発症させないためにも、口腔内ケアを十分に行って歯周病の進行を止めることが必要です。

上行性歯髄炎の治療法は、一般的な虫歯治療と基本的には同じです。歯髄炎が起きてしまっているので歯髄を取り除く抜髄(ばつずい)を行う場合が多く、そのための根幹治療も必要になってきます。

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