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歯周病菌が口腔がんのリスクを高める?

2024年11月22日

 

歯周病は、「日本人が歯を失う原因第一位」「約8割の成人が歯周病にかかっている」「複数の全身疾患を誘発する可能性がある」「アルツハイマー型認知症のリスクを高める」など、ネガティブな話題に事欠かない口腔内の病気です。そして今回はさらに口腔がんを含む頭頸部ガンとの深い関連性も認められました。

 

ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部人口健康学教授Richard Hayes氏らの研究では、歯周病の原因菌が頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)のリスクが上昇することを明らかになりました。平均年齢60.9歳の236人に対して、口腔内の細菌叢を「全ゲノムショットガンシーケンス解析」という特殊な方法で5.1年間の追跡調査を行った結果、歯周病の原因菌がいる人は、そうでない人と比較してHNSCCのリスクが顕著に増加していたのです。ちなみに、口腔内にカビを生やす原因ともなる真菌とHNSCCに関連は認められませんでした。

 

 

「頭頸部」というのは、脳より下で、鎖骨より上の領域を指す言葉で、口腔・咽頭・喉頭・鼻腔・副鼻腔・甲状腺・唾液腺・頸部食道まで含まれます。かなり範囲が広いのですが、いずれも扁平上皮がんが発生する組織型であることから、リスク因子が共通していたり、転移しやすかったりしていても何ら不思議ではありません。実際、歯科の口腔外科では口腔にとどまらず、咽頭や唾液腺、副鼻腔の外科治療を行うことも珍しくなく、頭頸部をひとつの単位として捉える考え方があります。

 

もちろん、歯周病にかかっているからといって、いきなり舌がんや歯肉がん、唾液腺がんなどを発症することはありませんが、少なくとも医学的な関連が認められたことは重要な事実として受け止める必要があります。逆にいうと、歯周病予防は、頭頸部がんのリスクを下げることにもつながるかもしれません。これによってまたひとつ歯周病を予防、あるいは早期治療するモチベーションを増やしていただけますと幸いです。

 

参考

 

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