歯磨きで歯は摩耗する?
2020年11月8日
むし歯治療などで歯を削る際には、ダイヤモンドがまぶされたバーを使用します。これは歯の表面を覆っているエナメル質が極めて硬い組織だからです。永久歯は一生涯、使い続けるものなので、それくらい丈夫であって当然ですが、不適切な習慣で摩耗や欠損が生じ得ることがあります。
例えば、毎日何気なく行っている歯磨きによって、歯の摩耗が起こることは珍しくありません。「かため」の歯ブラシと研磨剤が豊富に含まれた歯磨き粉を使って、ゴシゴシと力強く磨いていれば、人体で最も硬いエナメル質であっても徐々に摩耗していきます。冷たいものがしみる“知覚過敏”の症状が現れている方は要注意です。
歯科医院のクリーニングは歯を傷めない
歯周病によって歯茎下がると、歯根面が露出します。エナメル質は歯冠部に分布しているものであり、歯根面は象牙質とセメント質という比較的軟らかい組織で覆われていることから、ブラッシングによる摩耗が起こりやすくなっています。専門的には「くさび状欠損」と呼ばれる病変で、歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖があると、そのリスクはさらに高まります。
歯は“ダイヤモンドのように硬い”のは事実ですが、不適切にケアすると取り返しのつかないダメージを負ってしまうため注意しなくてはいけませn。すでに摩耗してしまった歯質は、レジンなどを充填することで補うことができます。知覚過敏に対しては、専用の薬剤やフッ素ジェルの塗布などで症状を緩和することが可能です。ただし、根本的な原因を取り除かなければ、再び歯の摩耗や欠損が生じてしまいます。
有用なのが歯科衛生士によるブラッシング指導です。口腔ケアの専門家から、歯を傷つけない正しいブラッシング法を学びましょう。歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖、歯茎を下げる原因となる歯周病も専門的な治療を受けることが大切です。歯がダメージを受けるのはむし歯だけではありませんので、その点も踏まえた上で、口腔ケアに力を入れていきましょう。