2022年9月29日
根管治療は、通常の虫歯治療よりも長い期間を要します。根管という細くて暗く、複雑な構造を呈した器官を傷付けることなく無菌化しなければならないからです。それでも2~3ヵ月あれば根管充填まで持ち込めるものですが、半年経過しても治らない、根充しても痛みが取れないようなケースは「MB2」が存在を歯医者が認識できていない可能性も考えられます。
MB2とは、近心頬側第二根管の略称で、上顎第大臼歯に認められるものです。本来、上顎の第一大臼歯には3本の根管があるのですが、30~70%の確率で4本目が場合によりそれより多くの根管が存在しています。第二大臼歯の発生率がもう少し下がるものの、どちらも根管治療では重要です。
4本目の根管であるMB2は、肉眼ではもちろんのこと、レントゲン撮影を行っても確認することが難しく、未処置のまま根管治療を終了することも珍しくないのです。MB1とMB2が部分的に連絡する「イスムス」という症状を伴っている場合には、難治性がさらに高まることになります。
そうしたMB2は、歯科用CTによる画像診断やマイクロスコープを用いた精密根管治療によって適切に対処することができます。レントゲン撮影でも角度を変えて2枚撮影することで、MB2の存在は確認できますが、マイクロスコープの使用は必須と言ってよいでしょう。いずれにせよ根管治療の知識や実績が豊富で、診療技術の高い歯科医師による治療が望まれます。
また、根管治療はMB2という「隠れた」根管の発見だけでなく、無菌的環境での治療のためのラバーダムの使用、デジタルレントゲン・CT、マイクロスコープ、根管長測定器、ニッケルチタンファイルなど、精密根管治療に必須といえる医療機器・器具があります。また、神経を残した治療、生活歯髄療法ではMTAセメントという高度の封入性を持つ材料も使われます。
根管治療は虫歯治療の最終段階として歯科治療の中でも、一番なじみが深い治療です。しかし、本当に治す、しかも短期間で治すためには最新の高度な機器や歯科材料の使用は前提と言っても過言ではありません。歯科治療は大きく変わってきています。
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