美しく歯に優しいファイバーコア
2019年6月22日
ファイバーコア(ファイバーポスト)は美しく、歯に負担がかからない(写真はファイバーポストの材料、これから支台を作る)
虫歯が進行すると、虫歯に侵された部分をきちんと除去するだけでなく、神経や血管の入った歯髄を除去する抜髄、つまり「神経を取る」ことが必要になります。歯髄を取った後は根管と呼ばれる空洞が残りますが、被せ物(クラウン)を装着する前、根管の空洞を補強する支台を入れてクラウンを支える処置が必要になります。
歯髄を除去した後は空洞部分の補強が必要
ファイバーコア(ファイバーポスト)は抜髄後の歯の補強、支台築造を行うための材料の一つです。ファイバーコアが登場したのは2000年代になってからで、それ以前は主として銀の合金を用いたメタルコアが支台築造で多く用いられていました。
しかし、メタルコアは強度はあるものの、柔軟性に乏しく、歯の根の破折を招きやすいという問題がありました。その上、メタルコアを長く使用していると歯茎に金属が溶けだして黒ずんで来るといった審美的な欠点もあります。
ファイバーコア(ファイバポスト)はガラス繊維にレジン(一種のプラスチック)を染みこませることで作られています。このため、メタルコアと違って弾力性があり、咀嚼の際、歯のたわみに応じて曲がってくれるので歯への負担が小さくなります。
また、金属性ではないので歯茎が黒ずむようなことはありませんし、歯の外部から黒いコアが透けて見えることもなく審美的に優れています。クラウンがセラミックなら金属フリーの治療となるので金属アレルギーの可能性もありません。
それだけではありません。メタルコアは型取りをして金属製のコアを装着するため、歯を大きく削る必要があります。このため歯の強度が全体的に弱くなるため、将来的抜歯のリスクがより高くなってしまうということがありました。
ファイバーコアだけでなく、レジンを支台として詰め(レジンコアとも言います)、その上からクラウンを装着する治療が行える時は、歯を削る量はさらに小さくなります。できるだけ歯質を残すことが歯を傷めないためには大切です。
根管治療は、マイクロスコープやラバーダムの使用で大きく進歩しましたが、ファイバーコアはもう一つの根管治療で将来の抜歯を避けるための大きな貢献をしています。
根管治療の進歩にファイバーコア(ファイバーポスト)の貢献は大きい