自分でできるホワイトニング?
2019年4月13日
オフィスホワイトニングは漂白剤を塗った歯に光を照射して薬剤を活性化する
「使えば白い歯」になるという歯磨き剤が宣伝されています。中にはSNSで人気のあるいわゆるインフルーエンサーの体験談で「見違えるように白くなりました」といったコメントがあることもあります。
ホワイトニングは歯科院でも行っています。費用も万単位でかかりますし、歯科医院に行くという面倒もあります。市販の歯磨き剤と歯科医院のホワイトニングは何か違いがあるのでしょうか。
結論を先に言うと市販のホワイトニング剤で歯は白くなりません。できるのは歯を白くするのではなく汚れを取るだけです。もちろん、汚れを取れば歯本来の色に近づくわけですから、ホワイトニングと言えないことはありませんが、「輝くような白さ」になるのは元々の色が輝くように白い場合に限られます。
歯の着色には色々な原因がある
歯が白さを失うのは、いくつか理由があります。一つは加齢です。歯の表面を覆っているのはエナメル質という非常に硬い物質ですが、エナメル質は白いだけでなく半透明です。このため、エナメル質の下の象牙質の色が透けて見えます。
象牙質は血管や、神経のある歯髄と呼ばれる部分がありますが、この歯髄の部分は年齢を重ねると黄色味を帯びてきます。その色がエナメル質を通して見えることで白さが失われてきます。
そしてもう一つの原因は歯が着色されることです。歯の着色はコーヒーやカレー、ワインといった色のある食べ物、飲み物を摂るためですが、この着色は表面に汚れとして付くものと、歯自体に色が付くことに分けられます。
ホワイトニングを行う歯磨き剤ができるのは、歯の表面についた汚れを取るだけです。その汚れも硬くこびりついたものは、歯ブラシと歯磨き剤では簡単には落ちません。歯科医院ではPMTC(機械的歯面清掃)と呼ばれるクリーニングがありますが、これは歯科衛生士が機械を用いて行うものです。
歯磨きで無理に歯面の汚れを取ろうとするとかえって歯面を傷つけることで汚れが付きやすくなることもあります。タバコのヤニなど長い時間をかけてこびりついた汚れを取り除くのは容易なことではありません。
また、歯に染み込んだ汚れはPMTCでも取ることは不可能です。染み込んだ汚れは漂白しなければ白くなりません。歯科医院で行うホワイトニングは過酸化水素水、過酸化尿素といった漂白作用のある薬剤を使い、さらに光を照射して薬剤の効能を高めます(自宅で行うホームホワイトニングでは光照射は使いません)。
加齢による黄ばみには漂白も効果がありません。歯科医院のホワイトニングはエナメル質の表面を乱反射するように変化させることで、内部の象牙質の色が透き通って見えないようにします。
日本では漂白作用のある薬剤を含む歯磨き剤は認可されていません。漂白作用がなければ歯に染み込んだ色は消えません。歯を磨くことは歯垢を落とし、口腔内環境を改善することはできますが、歯石が歯磨きで取れないように歯を白くすることは漂白はもちろん、汚れを取ることでも限定的です。
歯磨きでは歯石や硬いステインは除去できない
市販の歯磨き剤でホワイトニングを行うことは事実上できないと言ってよいでしょう。それでもテレビCMやネットでホワイトニングを売り物にする商品が多数宣伝されているのはなぜなのか疑問でさえあります。ホワイトニングと口腔ケアは区別して考えるべきでしょう。
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