2023年2月18日
口腔は、空気や食物の通り道で、気道や食道へとつながっていることは皆さんもよくご存知でしょう。実はその口腔を形作る組織は、内部でもいろいろな器官とも連絡しています。そのため口腔に露出している歯や歯周組織が感染症にかかると、その影響が体の深い部分にまで波及することがあるのです。これは「歯性感染症(しせいかんせんしょう)」と呼びます。
歯性感染症の経路は、「虫歯」と「歯周病」の2つに大きく分けられます。虫歯が進行すると歯の根の先から細菌や汚染物質が漏れ出て「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」という病気を発症し、膿の塊を形成します。歯周病が進行すると歯と歯茎の境目に深い歯周ポケットが形成されて汚れがたまり、細菌の温床となります。
それが周囲の筋肉や顎の骨、組織隙(そしきげき)というすき間に広がって、歯槽骨炎・顎骨骨膜炎・顎骨骨髄炎・蜂窩織炎(ほうかしきえん)・歯性上顎洞炎といった歯性感染症を引き起こすのです。どれも深刻な病気であり、38℃以上の発熱や倦怠感、食欲不振といった全身症状を伴うことも珍しくありません。とくに蜂窩織炎の重症例では、呼吸困難や肺に膿がたまる膿胸、縦隔炎などで命の危険に晒されるリスクもあるため十分な注意が必要です。
もちろん、虫歯や歯周病から上述した感染症に進展するケースは極めて稀といえますが、その可能性がゼロではないことは知っておいてください。歯や歯茎は独立して存在している組織ではなく、組織隙や血管、リンパ管などで連絡しています。虫歯・歯周病を軽視していると、繁殖した細菌が縦横に広がり、思いもよらない感染症を誘発することもあります。
歯性感染症は、局所の洗浄や抗菌薬による薬物療法の他、外科手術が必須となることもあります。いずれにせよまずは、街の歯科医院で診断および応急処置を受け、必要に応じて大学病院などを紹介してもらう流れとなります。口腔外科を専門に担当する歯科医師が在籍する歯科診療所なら、診断から治療までしっかり行うことができます。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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