虫歯菌と歯周病菌
2019年4月7日
歯周病も虫歯も感染症
虫歯と歯周病は代表的な口の中の疾患です。虫歯は強い痛みをあり、治療で歯医者に行ってガリガリ削られたりすることで「歯医者は痛い」「歯医者は怖い」という印象の元になっていますが、これに対し歯周病は痛みがないまま進行するためサイレントキラーという恐ろしい名前が付いています。
対照的な虫歯と歯周病ですがどちらも細菌が引き起こす感染症です。キスをすると虫歯や歯周病がうつってしまうと心配をする人もいますが、人は口の中に何百種類もの細菌を持っています。感染症とは言っても、元々自分の口の中に持っていた細菌が起こすことがほとんど言ってよいでしょう。
ただ、虫歯を引き起こす菌の中で代表的なミュータンス菌は生まれたばかりの乳児にはありません。ミュータンス菌は口移しや食器の教養によって主に親から子に感染します。3歳までミュータンス菌が感染しないように注意をすると、その後口腔内の虫歯菌が増えることはなくなり、虫歯に非常になりにくくなります。
ミュータンス菌の感染を幼児の時に遮断するのは簡単ではありません。残念ながらほとんどの人は虫歯菌に感染してしまっています。虫歯は砂糖などの糖分を虫歯菌が分解して酸性の物質を作ることが原因です。
歯は唾液中のカルシウム分、リン酸イオンにより再石灰化される
歯の表面はエナメル質という非常に硬い物質で覆われていますが、エナメル質の主成分は石灰で酸には弱い物質です。このため酸性の物質がエナメル質を溶かして虫歯菌を歯の中に侵入させるのです。
虫歯を作る原因になるのは主として糖分とミュータンス菌ですが、歯周病は多種の口腔内の細菌が関係していると言われています。食べたものが口の中に残っているとそれらの口腔内の細菌がプラーク(歯垢)というネバネバした物質に変化させます。
プラークは最近の格好の住みか
プラークのように細菌が大量に繁殖してヌメヌメした物質をバイオフィルムと呼びます。細菌の塊のバイオフィルムは酸性物質なら歯の表面のエナメル質を溶かし虫歯になりますが、歯周病は歯ではなく歯茎に炎症を起こし、さらに歯茎そして歯を支えている骨の土台、歯槽骨を破壊します。
歯周病を引き起こす細菌は嫌気性といって空気を嫌う性質があります。プラークが歯と歯茎の間のポケットと呼ばれる部分に入り込むとそこは嫌気性細菌の絶好の住みかになります。プラークをていねいな歯磨きで毎日除去することが歯周病の予防になによりも大切なのはそのためです。
プラークが取り除かれないと唾液の中に含まれる石灰分を吸収して歯石という硬い物質に変わります。歯石にはプラークが付きやすく嫌気性の細菌を守る培地のような存在になります。歯磨きだけでプラークは完全には除去できないので、定期的な歯石除去が必要なのはそのためです。
歯石を作る元になる唾液中の石灰分ですが、この石灰分は酸性の物質で歯から失われた石灰分を補う再石灰化を行う働きもあります。歯は石灰分を失う脱灰と再石灰化が繰り返し行われていて、そのバランスが崩れると虫歯になるのです。歯石を作る時は悪玉の唾液中の石灰分は虫歯から歯を守る役割も果たしています。
このようなことがあるので、歯石の付きやすい人は虫歯になりにくいということもあります。ただ、口腔内ケアをきちんとしないと虫歯にも歯周病にも同時になります。歯周病菌、虫歯菌どちらも困った存在ですが、人は細菌と共存して生きていかなければなりません。口腔内ケアで歯周病菌や虫歯菌が暴れ回らないようにすることが大切です。
参照
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