
2025年5月15日
歯列の一番後ろに存在している親知らずは、矯正治療で抜歯が必要と判断された場合、その第一選択肢になるのが普通です。親知らずが手前の歯(第二大臼歯)を圧迫しているケースはもちろん、歯茎の中に埋まっているケースでも、その他の歯の移動を阻害すると診断された場合は、親知らずの抜歯が治療計画に盛り込まれます。
親知らずの抜歯には、それなりの期間がかかるだけでなく、心身への負担も大きくなるため、できるだけ親知らずを抜かないで歯列矯正したいと考えている方も多いかと思います。とりわけマウスピース矯正のインビザラインを検討中の方は、親知らずを抜かないで快適に歯並びの治療を受けたいと思われているかもしれません。
親知らずを抜かないでインビザラインできるかどうかは、歯並びの状態や希望する治療内容によって変わります。例えば、歯並びの症状が比較的軽度で、前歯だけの歯列矯正を行えるケースなら、親知らずを抜かないでインビザラインできることが多いです。これはいわゆる部分矯正にあたり、親知らずを抜かないでインビザラインできるため、治療期間も数ヵ月程度にとどまります。歯を動かすのは基本的に前歯部だけなので、親知らずが4本とも生えていたとしても、抜かないでインビザラインできるのです。このような矯正ではインビザラインGo、インビザラインGo+といった、期間も費用も小さな方法が可能な場合もあります。
その一方で、歯並びの重症度が高く、奥歯も大きく動かさなければならないケースでは、親知らずを抜かないでインビザラインするのが難しくなります。特に親知らずが歯並びを悪くする原因になっていたり、奥歯を後方に下げなければならなかったりする症例は、親知らずを抜かないでインビザラインすると、治療期間が長くなるだけでなく、仕上がりも悪くなることから、事前にしっかりと抜歯した方が良いでしょう。
しかし、インビザラインではワイヤー矯正で必要な抜歯を回避できる可能性が高くなります。それは、
・歯列全体に均等かつ持続的な拡大力を加えやすいため、 軽度~中等度の叢生(デコボコ)は、歯列弓を横に広げることで非抜歯で並べられることが多い
・インビザラインでは、どの歯に何mm削合するかを事前に設計でき、 このためIPR(歯と歯の間を少し削ってスペースを作る)は1歯あたり最大0.25mm程度ですが、全体で数mmのスペースが生まれ、抜歯回避の可能性が高まる
・ワイヤー矯正では臼歯の遠心移動はやや難度が高かったのに対し、マウスピース矯正では遠心移動(奥歯を後方へ動かす)にも対応しやすいため、インビザラインでは、マウスピース全体の支点力を利用して、臼歯の微細な後方移動を段階的に設計することが可能
といった理由があるからです。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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