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長い年月のかかる矯正治療も短期間で可能な時代に

2019年11月10日

ワイヤ矯正治療は毎月ワイヤの形を変えて歯を動かす



歯並びの乱れを整える歯列矯正は、数年単位の治療期間を要するケースがほとんどです。これは一般的な虫歯や歯周病の治療とは比較にならないほど長いものです。それだけに、矯正治療を受けようかどうか迷われている方もいらっしゃることかと思います。そこで知っておいていただきたいのが「歯列矯正には長い時間が必要な理由」です。

私たちの歯は、歯茎や歯根膜、歯槽骨などによって支えられています。これらを総称して「歯周組織」といいます。食事の際に硬いものをしっかり噛めるのも、それぞれの食材が持つ食感を楽しむことができるのも歯周組織が歯をしっかりと支えてくれているおかげなのです。

また、永久歯は一生涯使い続ける歯でもあることから、そう簡単に歯がグラついたり、移動したりしても困ります。そんな顎の骨にしっかりと固定されたものを矯正装置によって強引に移動させるのが「歯列矯正」なのです。

ただ、単に強い力を加えても、歯は思うように動いてくれません。骨というのは、そのような激しい変化に対応できる組織ではないため、歯が折れるか、骨が折れるか、いずれにせよ力を加えた部分に外傷を負って終わるだけです。そこで気になるのが歯列矯正における力の加え方です。

エッジワイズ法に代表されるワイヤー矯正では、弱い力を加えながら、少しずつ歯を動かしていきます。その結果、歯の移動方向では骨が吸収し、後方では骨の再生が起こるのです。これを「骨のリモデリング」といいます。歯槽骨という硬い組織に埋まっている歯を適切に移動させるには、この現象を繰り返していく他ないのです。

例えば、強い矯正力を加えて、3年の治療期間を1年に短縮しようとすると、骨が吸収されていくばかりで再生が追い付かず、歯列矯正自体が失敗に終わります。そうした強引な処置は、顎の骨が壊死したり、歯根が吸収したりすることがあるため注意が必要です。

このように、歯列矯正というのは、骨のリモデリングという生理現象に基づいて行われるものであるため、長い治療期間が必要となっております。生まれ持った歯並びを人為的に変化させるというのは、それくらい大変なことなのです。

IGOが適用可能なら3-6カ月で矯正治療ができます



この原理はワイヤを使用しない、マウスピース矯正でも同様です。しかし、インビザラインという製品名で知られるマウスピース矯正の世界のトップメーカーのアランテクノロジー社は歯の大きな移動を必要としないケースでは3-6か月で矯正を終了するIGOシステムを開発しました。

IGOは膨大な矯正用マウスピースの作成に使ったビッグデータをコンピューターで解析することで、矯正の検査時に必要なマウスピースを設計、製造するという画期的な方法にこのような短期間で治療終了します。

ただし、残念ながらすべてのケースにIGOが適用できるわけではありません。矯正で歯の移動スペース確保のために抜歯を行う(便宜抜歯)矯正では年単位の時間がかかるのはマウスピース矯正でも変わりません。IGOが適用可能かどうかはIteroを呼ばれるコンピューターの診断装置で判断できます。短期間で矯正治療が可能かどうかは検査とカウンセリングでお確かめください。

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