2024年4月1日
朝、目覚めた時に顎が痛い。口を大きく開けられないため、食事の時に不便を感じている。そんな症状に悩まされている場合は顎関節症が疑われます。顎関節は、上顎骨と下顎骨が連結している部位で、口を開け閉めしたり、左右に動かしたりする時の支点となる構造です。そこに大きな負担がかかると、顎の痛みや開口障害、咀嚼筋痛などを引き起こします。
顎関節症でよく見られる「カクン」という音は、顎関節でクッションの役割を果たしている関節円板(かんせつえんばん)がずれる際に生じるクリック音です。これが「ジャリジャリ」というクレピタス音になっている場合は、顎関節を構成する骨や軟組織に変形や変性が起こっている可能性が考えられます。
口が開かない症状も関節円板の転位が原因であるケースが多いといえます。縦に重ねた人差し指・中指・薬指の3本がお口の中に入らない場合は、開口障害が認められるため、一度、歯科で診察を受けた方が良いです。顎の痛みは、咬筋(こうきん)や側頭筋(そくとうきん)といった咀嚼筋が過剰に運動することが主な原因です。これも顎関節の異常に由来します。
顎関節になる原因としては、悪い噛み合わせ、ストレス、歯ぎしり・食いしばりなどの悪習癖、外傷などが挙げられます。いずれかひとつというわけではなく、いくつかが重なって顎関節症を発症するケースが多いです。そのため顎関節症では、根本的な原因を取り除くことも容易ではありません。
そんな顎関節症は、10~20代の女性の好発する病気で、放置していても自然に改善していく場合があります。その一方で、上述した症状が年月の経過とともに悪化していくケースも少なくはないため、顎の痛みやクリック音、口が開かない症状が気になった場合は、念のために歯科で診察を受けておくことをおすすめします。重症例では、口がまったく開かなくなったり、関節の骨が変形したりすることもありますので、軽視はせずに経過をしっかり診ていくことが大切です。
また、最近ではボトックス(ボツリヌス菌製剤)で筋肉の緊張を解くことで、歯ぎしりや顎関節症を治療する方法も行われるようになりました。数回の注射で症状が著しく改善する例も多いので、検討する価値は十分にあります。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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