2021年9月26日
歯並びの乱れを細かく整えていく歯列矯正は、動的治療に2~3年を要します。とても長い期間なので、歯の移動量や速度がどのくらいなのかは気になるところですよね。
例えば、1ヶ月で歯がどのくらい動くかは、歯冠(しかん)と歯根(しこん)で異なります。標準的なマルチブラケット法を想定した場合、歯冠は1ヶ月で1.0mm程度動くことがあります。移動量が意外に多いことに驚かれた方もいらっしゃることでしょう。
一方、歯根は1ヶ月で0.5mmくらいしか動きません。つまり、歯の頭の部分と根っこの部分とでは、移動量が大きく変わってくるのです。言うまでもなく、歯列矯正において重要度が高いのは歯根の移動となります。
もちろん、強い矯正力をかければ、もっと速く歯を移動させることができるのですが、それでは矯正治療が失敗に終わってしまいます。なぜなら、矯正による歯の移動は「骨のリモデリング」という現象を正常に維持していかなければならないからです。
短期間で矯正を終わらせようとして、1ヶ月に歯根を1.0mm移動させようとすると、顎の骨の吸収ばかりが進み、骨の再生が追い付きません。そればかりか歯根が強い圧力に耐えきれず、歯根吸収を招いてしまうのです。
10代前半は身体の代謝が高く、骨の再生も起こりやすいことから、比較的速く歯を移動させることができます。12歳くらいなら、まだ歯の萌出力も残っており、効率良く歯並びを整えることが可能です。小児矯正の2期治療が行われる時期です。
このように、歯列矯正で動かせる歯の移動量は、1ヶ月でごくわずかです。私たちの身体のシステムを踏まえると、1ヶ月で0.5mm以下が適正といえるため、自ずと治療期間も長くなります。歯列矯正をご検討中の方は、その点もしっかり理解しておくと治療へのモチベーションも上がることかと思います。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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