3種類の不正咬合:上顎前突、反対咬合、叢生
2019年7月13日
歯が凸凹に生えている叢生(そうせい)の歯並び
日本人の歯並びが良くないというのは残念ながら事実です。健康保険で安く高いレベルの歯科治療が受けられるためもあって、「歯医者は痛くなったら行くところ」と考え、歯並び以前に歯の健康そのものに対する関心が欧米と比べて高いとは言えないということが背景にあるのかもしれません。
しかし、歯並びは単に見た目の問題だけではなく、歯の健康を維持するために大切です。歯の二大疾患と言える虫歯も歯周病も食べ物の残りかすが口腔内の細菌によりプラーク(歯垢)に変化することが原因です。プラークを取り除くには歯磨きをしっかりと行うことが基本ですが、歯並びが悪いと食べ物の残りかすもプラークも取り除くのが難しくなります。
欧米では一般的に日頃の歯の手入れとともに子供の矯正治療に日本よりずっと熱心です。日本では矯正は永久歯が生え揃ってから行うことが一般的ですが、理想的には永久歯が生え揃う前に歯並びを治すのではなく、永久歯がきれいに生えるように顎のスペースを作る一次矯正を行うことが勧められます。
一次矯正を行わず、顎が十分なスペースのないまま永久歯が合え揃うと、歯同士が椅子取りゲームをするようにスペースを奪い合い、歯並びが悪くなってしまいます。
子供の時に行う一次矯正は歯並びを整えるのではなく、顎のスペースを確保するために行う
歯並びが悪いことを不正咬合と言います。不正咬合は大きく3種類に分けられます。上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは上の歯が下の歯より出ている歯並び。出っ歯です。上顎前突は口呼吸の原因にもなりやすくドライマウス(口が乾いてしまう)や事故で前歯の損傷を受けるリスクも高くなります。
上顎前突は骨格に由来することもありますが、顎のスペースが不足することが原因の場合は通常の矯正治療で歯並びを整えることができます。ただ、便宜抜歯を行う必要が多くなります。
反対咬合は下顎前突(かがくぜんとつ)とも言われ、上顎前突の反対にしたの歯が上の歯より前に出ている状態です。続に受け口とも呼ばれます。反対咬合は一般的な矯正治療だけでは治すのが難しく、骨切りの手術を行う矯正外科の治療を伴うことが」多くなります。
叢生(そうせい)は歯並びがでこぼこの状態になっているものです。叢生は顎のスペースの不足だけではなくなってしまう場合は便宜抜歯を必要とせず矯正を治療で治すことも可能です。
歯並びが悪くなる大きな原因は顎のスペースが足りないことなので、成人の矯正は便宜抜歯といって健康な歯をスペースを確保するために抜歯しなければならないことが多くなります。一次矯正を行うと便宜抜歯が必要なくなることが多く、成人矯正(二次矯正)そのものが不要になることもあります。
また、顎のスペースが十分に確保されると数カ月で終了するマウスピース矯正(インビザラインIGO)で矯正治療を行うこともできます(ケースにより難しいこともあるので診察が必要となります)。
矯正は子供の頃から一次矯正を行うことが望ましい反面、成人してからも年齢に関係なく行うことができます。歯のケアを考えるなら、矯正治療で歯並びを整えることも考えてみてはいかがでしょうか。
矯正治療にはワイヤーを装着する方法とマウスピースを装着する方法がある