アマルガムを一掃したレジン
2020年5月15日
最近はアマルガムの詰め物はほとんど使用されない
アマルガムは水銀と金属との合金一般を指す言葉です。歯科の世界では、水銀に銀、すず、同、亜鉛などとの合金が使用されますが、操作性がよく詰め物としての特性がすぐれていて、費用も安価なため、昔は広く使われていました。しかし、安全性における問題点が指摘されるようになり、使用を控える動きが活発化していきました。
これは、アマルガムの主成分である水銀が危険だという認識が広まったことに大きな原因があります。水銀は多くの被害者を出した公害、「水俣病」の原因物質として有名になってしまったからです。確かに、一般的には水銀は人体に悪影響を及ぼす物質として知られています。
ただ、過去に詰められた歯科用詰め物として使用されているアマルガムは、すぐに健康被害をもたらすようなものではありません。アマルガムは、詰め物として硬化させた状態では極めて安定しています。また、アマルガムに含まれる水銀は、「無機水銀」であり、水俣病の原因となったメチル水銀(有機水銀)とは異なります。
アマルガムの使用はヨーロッパで禁止されていますが、それは人体に対する危険ではなく、水銀という危険物質が環境の中に排出されることがあるためです。
日本でもアマルガムは現在はほとんど使用されなくなったのは、環境問題もありますが、詰め物としてレジンという優れた素材が使えるようになったことが大きな理由です。アマルガムは銀色ですが、レジンは白く、目立たず、審美性にずっと優れています。
レジンは英語の「樹脂」という意味です。プラスチックの一種と考えても構いません。元々のレジは液状です。レジンが歯科で使われ始めたころは、硬化させるために「主剤」と「硬化剤」の2液を混ぜ合わせるなど、アマルガムより必ずしも使いやすいものではありませんでした。
レジンはUV光で硬化する
しかし現在は一液に紫外線をあてて硬化させるUVレジンが主流になりました。レジンは金属ではないために、アマルガムで発生することのある金属アレルギーはありません。歯と分子レベルで固く接着しているので二次虫歯が起きにくいという優れた性質もあります。
レジンは材料科学の進歩で、特性が日々改良されることで、詰め物として広く使われ、アマルガムは事実上一掃されました。金属ではない歯科材料としてセラミックとともに、歯科の世界からアマルガムや金属は次第に姿を消して行くと思われています。
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