2020年3月4日
歯科治療で、虫歯を直した後、詰め物や被せ物を装着するのが普通です。虫歯が小さいうちはレジンというプラチック素材で薄く削った部分を埋めることで対応できますが、ある程度虫歯が進んでいると、インレー(詰め物)、クラウン(被せ物)が必要です。
この時、インレーやクラウンの素材に健康保険を使用した時に通称「銀歯」と呼ばれる金属製の素材が使われることが普通です。銀歯以外でも白い素材を使うことは健康保険でもできる場合もありますが、セラミック素材より強度や美しさは劣ります。
健康保険が適用される銀歯のインレー、クラウンは美的にはセラミックに劣りますが、強度という点では優れた素材です。しかし、銀歯の使用は禁止が勧告されています。さらにスウェーデンでは妊婦と小児に対しては完全に禁止されています。
「銀歯」と言いますが、実際は合金で、銀が50%、パラジウム20%、金12%、銅20%の他メーカーにより様々な金属が含まれています。パラジウムはあまり聞きなれない金属ですが、金や白金の仲間で価格もその中間くらいの貴金属です。ですから「銀歯」の役3分の1は貴金属で構成されており、かなり高価な材料です。
しかし、口腔内で長く銀座を使うことは色々なリスクを伴います。まず、多種多様な金属を含むため金属アレルギーを引き起こしやすいということがあります。
次に金属の技工物の宿命として歯との密着度がセラミックより劣っているということがあります。これはセラミックが接着(普通の接着とは違う意味です)といって分子レベルで歯に付けられているのに対し、金属は「はめ込む」形で歯に装着されているからです。
このため銀歯とセラミックでは素材として歯との密着性に差があり、それが治療後の虫歯の再発、二次虫歯のリスクの差につながります。この他、金属が歯茎に溶け出して黒くなる、メタルタトゥーという現象が現れることもあります。
銀歯について色々な問題を指摘しましたが、日本で銀歯は禁止されていません。金属アレルギーも二次虫歯のリスクも健康保険適用を禁止するほどのものとは判断されていないということでしょう。しかし、銀歯の潜在的な問題点や、そのためにドイツやスウェーデンを始めとして世界的には使用中止の方向に向かっていることは理解されるべきでしょう。
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