フッ素の効果と健康リスクへの対応
2020年1月18日
フッ素の水道水への転嫁は虫歯予防の効果は大きいが・・
虫歯予防には、フッ素は効果的です。フッ素入りの歯磨き粉を使用することで、虫歯菌に負けない強い歯を作ることができます。歯科医院で受ける「フッ素塗布」は、高濃度のフッ素ジェルを使用することから、虫歯予防効果も極めて高くなっています。ではフッ素は安全なものなのでしょうか。
フッ素にも身体への悪影響がありますます。しかし、それはフッ素を「過剰摂取」した場合です。つまり、フッ素入りの水や薬剤などを大量に摂取することで、身体に影響が出ます。
例えば、小さな子供が誤ってフッ素ジェルを飲み込んでしまったら、「急性中毒」の症状が現れることがあります。具体的には、腹痛や下痢、嘔吐などを引き起こします。どんなものでも過剰に摂取すると毒物になってしまうのです。
一方、少ない量でもフッ素を習慣的に摂取していると「慢性中毒」の症状が現れることがあります。これは水道水に比較的濃度の高いフッ素が含まれている地域では起こりえると考える研究者もいます。症状としては「歯のフッ素症」「骨のフッ素症」があり、歯や骨が発育していく過程で、フッ素が多く取り込まれることで、歯の色調異常や骨の形成異常などがもたらされたとされています。
ここまで、フッ素の健康被害について説明してきましたが、これらはあくまで「摂取」した場合に限ります。歯科医院で行うフッ素塗布は、歯の表面にフッ素ジェルを塗る処置であり、施術するのが専門家であることから、フッ素を摂取することはまずありません。
水道水にフッ素を入れる「フロリデーション」は日本では基本的に行われていません。フッ素の含有量は国で定められている基準値内です。フッ素によるトラブルはフッ素濃度の高い歯磨き剤を大量に体内に入れてしまうような場合に限られるでしょう。
そのような時は、胃の中のフッ素を「薄める」「吐かせる」「洗浄する」ことが有効です。応急処置としては、牛乳を飲むことでフッ素がカルシウムと結合し、その毒性を薄めることが可能となります。胃の洗浄は医療機関で受けることとなります。
フッ素は取り扱いを間違えると、その他の物質同様、毒性を示すことがありますが、歯科医師の管理下ではまず起こり得ません。フッ素塗布は安全で虫歯予防には非常に有効です。フッ素のリスクを過剰に恐れるのではなく、正しいフッ素の利用が口腔ケアには大切です。