ホワイトニングで白くなる歯ならない歯
2018年5月27日
口元や口腔内の写真で個人の特定は難しい
ホワイトニングは漂白作用により歯を白くします。漂白に使われる成分は、過酸化水素あるいは過酸化尿素です。過酸化水素は歯科診療所で施術するオフィスホワイトニングに、過酸化尿素は自宅で行うホームホワイトニングで使用しますが、過酸化尿素は過酸化水素に変化することで漂白作用を発揮するので、ホワトニングの漂白は過酸化水素の働きによるものと考えて構いません。
過酸化水素も過酸化尿素も漂白は、その強い酸化作用による物なのですが、過酸化尿素は過酸化水素に変化して漂白力を発揮するため、作用が緩慢で自宅で時間をかけて行うホームホワンとニングをより安全に行うのに適しています。
ホワイトニングは漂白だけで白くしているわけではありません。歯の表面はエナメル質という硬い物質で覆われていますが、その下には象牙質があります。象牙質は神経や血管がある歯髄と呼ばれる部分がありますが、加齢とともに次第に黄味を帯びてきます。ところがエナメル質は半透明なため象牙質が透けて見え、歯が黄色に見えてきます。歯が黄色くなるのは加齢の一つの現象です。つまり歯が白くなることは口元が若さを取り戻すことになります。
ホワイトニングの漂白作用は象牙質にはおよびません。漂白作用だけでは象牙質が黄色くなった歯を白くすることはできません。そこでホワイトニング剤はエナメル質の構造を変化する働きがあります。エナメル質は表面が平らな細い柱の束からで消え入るのですが、ホワイトニング剤は平らな柱の表面を丸く変えます。そのため、光が表面で乱反射をして中の象牙質が見えなくなります。
ホワイトニングは漂白と歯の表面で光を乱反射することで歯を白くする
そのホワイトニングでも歯を白くできないことがあります。一つはテトラサイクリンという抗生物質を子供の頃使用して、歯の色がグレーや黄色になっている場合です。テトラサイクリンは歯牙形成への影響があるため妊婦や授乳中の母親には禁忌とされていますが、実際にはテトラサイクリンで歯に色が付いている例は少なくありません。
テトラサイクリンによって灰色になった歯
また、ホワイトニングが作用するのはあくまでも天然歯です。人工的な被せ物は白くなりません。被せ物などに含まれる金属による黒ずみなどの着色もホワイトニングで白くすることはできません。その他、象牙質が黄色が非常に濃くなった、エナメル質の厚みが薄いといったケースでもホワイトニングの効果は限定的になります。
この他、外傷などで歯の神経が死ぬと歯は次第に黒ずんできます。これはやはり内部の着色なので通常のホワイトニングは効果がありません。このような場合は歯に穴を開け内部にホワイトニング剤を注入するウォーキングブリーチという方法があります。しかし、ウィーキングブリーチは神経を失うことで弱くなった(正確には噛み合わせが強くなるなどで傷みやすくなる)歯に穴を開けるわけですから、歯の破折が起きやすくなります。
ホワイトスポットという白い斑点が歯の表面に出るケースは、ホワイトニングで白くなる場合と、白濁したホアイトスポットがホワイトニングでかえって目立ってしまう療法があります。いずれにせよホワイトスポットの部分はホワイトニングの効果はありません(詳しくはこちら)。
テトラサイクリン歯でもホワイトニングがまったく効果がないわけでなく、かなり満足を得られることもありますが、ホワイトニングの効果がないケースはラミネートベニアや被せ物で白くする方法もあります。
ホワイトニングは虫歯がある時は、まず虫歯を治療してから行うべきです。特に、虫歯の治療後被せ物を装着するのなら、被せ物と色に合わせてホワイトニングを行う必要もあります。また、歯科医院で使用するホワイトニング剤は強力なため知覚過敏を起こすこともあります。ホワイトニングは比較的手軽に白い歯にすることはできますが、歯科医院でしっかりした施術として行うべきでしょう。
ホワイトニングは歯科医院で