マイクロスコープから見えるもの
2022年2月18日
マイクロスクープは歯科治療を変えた
マイクロスコープ、歯科用顕微鏡が急速に普及してきました。マイクロスコープは20倍程度に拡大して患部を見ることができます。20倍というとそれほど大きな倍率と思われないかもしれませんが、例えば髪の毛なら1cmくらいの太さに見えることになります。今までとまったく違った風景が広がると言ってもよいでしょう。
最近の10-20年間くらいの歯科治療の進歩でもっとも大きなものの一つが「見る技術」です。マイクロスコープはその一つですが、CTを使えば3次元で立体的に神経組織や血管の場所を見ることができます。レントゲンもデジタル化によって現像の手間がなくなっただけでなく、ずっと大きく鮮明な撮影した映像をディスプレーに表示することが可能になりました。
では、マイクロスコープで拡大してどんな治療を行うのでしょう。第一に挙げられるのは根の治療、いわゆる根治です。歯の中には神経や血管が一杯つまっています。虫歯で歯が侵されると神経部分の治療や除去が必要になりますが、神経の入っている根管は非常に複雑な形をしています。根治は歯科治療の中でも一番一般的に行われているものの一つですが、マイクロスコープの使用される前は勘と経験に頼らざるえないことも多かったのです。
マイクロスコープは根管治療を変えた
根の治療の他でマイクロスコープが使われるものの一つにCR充填、プラスチック素材の一種のレジンを歯に埋め込む治療があります。CRレジンの充填は高度の審美性が要求される治療で、マイクロスコープによって非常に精密な治療が行えるようになりました。
マイクロスコープを使用しない場合でも、歯科用ルーペも広く利用されています。歯科用ループの拡大率は2-3倍程度ですが、その分大きな視野を確保できるので、マイクロスコープほどの倍率は必要のない細かい治療作業には便利です。
歯科用ルーペを装着した治療
歯科治療は細かい作業ですが、マイクロスコープやルーペの使用が一般的になり、治療の精密さは格段に高くなってきています。マイクロスコープが見せてくれるものは拡大された患部だけではなく、変化を続ける歯科治療そのものでもあるのです。