2021年1月27日
歯冠の大半を失った虫歯では、被せ物を製作して歯質を補う必要があります。その際「コア」と呼ばれる被せ物の土台を築造するのですが、使用する素材によって得られる効果も大きく変わってきます。
一般的な保険診療では、歯科用合金を使ったメタルコアが採用されます。金属はとても丈夫な素材なので、コアが壊れることはまずありまえん。けれども、歯質はコアよりも軟らかく、強い圧力が加わると、歯根へとダメージが集中して破折を招くことがあります。伐採の際にくさびを樹木へと打ち込むような感覚ですね。
また、メタルコアは金属製であるがゆえに、金属アレルギーやメタルタトゥー、金属色が人工歯から透けて見える、といったリスクが生じる点も確認しておきましょう。
一方、ファイバーコアはグラスファイバーによって作られたコアであり、金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクはゼロとなります。コアを築造する際もコンポジットレジンとグラスファイバーのみを使うため、人工歯から金属色が透けて見えることもありません。
さらに、ファイバーコアは柔軟性が歯質と似ており、圧力を吸収しやすくなっています。つまり、噛んだ時の力をファイバーコアと歯質とで負担できることから、歯根が破折リスクを低減できます。ただし、ファイバーコアには保険が適用されないので、メタルコアよりも治療費が高くなる傾向にあります。
被せ物というのは、外から見える人工歯の部分だけに目が行きがちですが、土台であるコアも同じくらい重要であることを知っておいてください。どんなものでも土台や基礎がしっかりしていなければ、正常に機能しません。
今回は、メタルコアとファイバーコアの違いについて解説しましたが、どちらかが絶対的に優れているというわけでもありません。患者さまが治療に対して何を優先するかによって、最適な材料や施術法も変わってきますので、カウンセリングでは治療への要望をしっかり伝えることが大切です。
中野の歯医者 マナミ歯科クリニック
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