2023年11月14日
失った歯を放置していると、見た目が悪い、歯並びが悪くなる、顎の骨が痩せていく、といった多くのデメリットが生じます。その中でも歯が持つ本来の機能である「そしゃく」する力が弱まることは深刻です。
たくさんの歯を失った人には、十分な栄養を摂取できなくなることで、オーラルフレイルやサルコペニアといった虚弱・身体機能の低下が見られるようになるからです。そのため歯科では、入れ歯やインプラントといった装置で、欠損部を補綴(ほてつ)するよることを推奨しています。
東北大学大学院歯学研究科の報告によると、何らかの理由で歯が少なくなった人でも入れ歯の装着によって、タンパク質の摂取量が8割改善したそうです。タンパク質は、筋肉を始めとした組織を作り上げる重要な栄養素で、噛む力が衰えるとその摂取量も自ずと低下します。その結果、噛まずに済むものを好んで食べるようになり、毎日摂取する栄養素にも偏りが生じてオーラルフレイルやサルコペニアがさらに進行してしまうのです。
今回の研究では、74歳以上の高齢者(約2,000人)の「入れ歯」に着目して横断研究を行ったようですが、これを「インプラント」に置き換えた場合は、また違った結果が得られるのではないでしょうか。顎の骨に人工歯根を埋め込めるインプラントは、天然歯の80%程度まで噛む力を回復できるといわれています。ちなみに入れ歯による噛む力の回復量は40%程度にとどまると考えられています。
80歳まで20本の歯を残しましょうという「8020運動」も、いろいろな食品を噛めるようにすることが口腔や全身の健康につながることを強調しています。とくに肉や魚からタンパク質を摂取する場合は、しっかりと噛める天然歯もしくは人工歯が必須となるといえるでしょう。
今回は、失った歯を入れ歯で補うことでタンパク質の摂取量が上がったという研究データをご紹介しました。失った歯を入れ歯やインプラントで補うことは、食生活に大きな変化をもたらしてくれるのです。
参考URL:https://www.dent.tohoku.ac.jp/news/file/20230830_01.pdf
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