口臭の元の舌苔とは
2019年12月6日
舌に苔のようにこびりついた舌苔(ぜったい)
口臭が気になったときは、まず「舌」をチェックしましょう。舌の表面に白い苔(こけ)のようなものが付着していたら、臭いの原因となっている可能性が高いです。それは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる物質で、歯垢とほぼ同じ成分によって構成されています。つまり、舌苔というのは食べかすや細菌の集合体なのです。
そこには代謝によって剥がれた粘膜上皮や食物由来のタンパク質が豊富なため、細菌による揮発性硫黄化合物(硫化水素・メチルメルカプタンetc)の産生も活発化しています。とくに、歯周病菌の一種であるF.n(Fusobacterium nucleatu)菌は、便の臭いに似た「スカトール」を作り出すことから、不快な口臭の原因となりやすくなっているのです。
また、舌苔は単に不快な臭いを発するだけではなく、「誤嚥性肺炎(ごえん)」のような感染症の原因となることもわかっています。というのも、咀嚼することで形成された食塊は、必ず舌を経由して咽頭へと運ばれていきます。その際、舌苔があると舌の表面に肺炎を引き起こす細菌が繁殖しています。
食塊がそのまま食道へと運ばれるのであればそれほど大きな問題とはなりませんが、嚥下機能が衰えているご高齢の方ともなると話は変わります。口腔内細菌が食塊や唾液とともに喉頭や気管へと入り込んでしまうこともあるからです。そうして生じるのが誤嚥であり、引き起こされる病気が肺炎なのです。
しかし、舌苔は無理にこすって取ろうとすると、舌の表面を傷つけ、かえって細菌が繁殖しやすくなります。舌苔を取るには舌ブラシを使うことが必要です。
舌ブラシは、舌の汚れを取るための専用器具なのですが、使い方を誤ると、むしろ感染のリスクを引き上げてしまうことがあるため注意が必要です。舌ブラシは使いかたは歯科衛生士が指導を行っています。舌苔の口臭治療は舌ブラシを正しく使うことが基本です。
舌苔は「たかが舌の汚れ」とは考えずに、適切なケアを毎日行わなければなりません。舌を清潔にすることで、口腔内環境のみならず、全身の健康維持・増進にもつながります。口臭が気になったら口臭検査を受け、舌苔が原因ならその治療をきちんと行うことが大切です。
舌ブラシ