歯が黄ばむ理由
2019年6月1日
白い歯は若さと健康の証
「白い歯は美しい」当たり前のようですが、なぜ人は白い歯を美しいと感じるのでしょうか。汚れた歯や虫歯だらけの歯は健康的でない印象を与えることは間違いありません。しかし、白い歯を好ましく感じるのはそれだけではありません。実は加齢とともに歯は次第に黄ばんできます。白い歯は若さの象徴でもあるのです。では、どうして年齢をかさねると歯が黄ばんでくるのでしょう。
歯は半透明のエナメル質に覆われていて、その下には象牙質があります。エナメル質は無機質の結晶状態の物質ですが、象牙質は2割程度の有機物を含んでいます。この象牙質は黄色味を帯びていて、半透明のエナメル質を透してその色が見えます。
年を取ると象牙質は次第に黄みを増します。それと同時にエナメル質は磨耗で薄くなってきます。それだけではなく、エナメル質の表面で乱反射を起こし、内部の象牙質が透けて見えるのを防いでいた、エナメル質表面の溝が磨耗と石灰化で乱反射の機能を失って、中がそのまま見えるようになってきます。
このように加齢に伴い象牙質の黄色い色が外側から見えやすくなり、年を取ると歯が黄色くなってきます。逆に言えば白い歯は美しいだけでなく、口元に若い印象を与えてくれるのです。
歯は象牙質の黄ばみだけではなく着色もします。食べ物の汚れが歯に付着する汚れはステインと言いますが、ステインは歯磨きである程度落とすことができます。しかし、あまり強く歯ブラシをすると歯に細かい傷がついて、かえってステインが付きやすくなります。特に粒子の荒い歯磨き剤を歯を傷つけ、磨耗させる危険があります。
粒子の荒い歯磨き剤で強くブラッシングすると歯面が傷つく。
ステインは歯科医院でクリーニングを行うことで除去できます。歯ブラシはあくまでプラークを除去することを中心に考えるべきです。しかし、ステインを除去してもエナメル質自体がコーヒーやワイン、カレーのような色の強い食品で着色される場合があります。そのような着色はホワイトニングで漂白することで取り除けます。
ホワイトニングでも象牙質が着色していると白くするのは難しくなります。失活歯といって、打撲などで象牙質の中の神経、血管を収めている歯髄が壊死すると、血液中のヘモグロビンが象牙質に無数に通っている象牙細管の中に入り変色して歯が黒ずみます。
また、幼少期にテトラサイクリン系の抗生物質を服用すると象牙質に色素が沈着し、歯が黒ずむことがあります。失活歯の場合や抗生剤の作用のように外部ではなく内部からの歯の着色は、通常のホワイトニングでは白くなりにくいので、内部から漂白剤を入れる方法を取ることもあります。
しかし、内部から漂白剤を入れる方法は、歯の破折を招くことも多く、必ずしも勧められません。内部からの着色はラミネートベニアというセラミックの薄片を貼り付けたり、クラウンで覆うことで白さを取り戻すこともできます。ケースにより、白い歯にする方法を選ぶと良いでしょう。